いやはや、武漢新型コロナウイルスに関連していろいろと記事が出ていますね。
Youtube などはひどいものですな。がせネタ、思い込み、うそ八百...。まあよくそんな思い付きが出てくるものだと。
あまりにばかばかしくて、寝ていようかとも思いましたが、気を取り直して一文を。
2003 年に発生したSARS をはじめとして、MERS、豚インフル、鳥インフル、ウエストナイル熱の経験から話をさせてもらいます。
1 人に感染する新型のウイルスが発生したという意味は、
新型ということは、人はまだ誰も抗体を持っていないということであり、全ての人が感染(ウイルスが体内に入る)すれば発症を起こすという意味です。(不顕性感染という症状が出ないこともあります。)
感染/発症する可能性のある人の数は、世界人口と同じ76 憶人です。
2 感染症が成立する3つの要因とは、
① 病原微生物が存在すること(新型コロナウイルスがいること)
② 感染経路があること(飛沫や接触によってウイルスを取り込むこと)
③ 感受性があること(ウイルスに感染すると症状がでること)
ウイルスに感染して発症を起こすにはこの3 つの要因のすべてが必要です。
したがって、発症を防ぐには3 つの要因のうち、少なくとも1 つの要因を無くせば良いのです。
予防対策として、
①については、消毒や感染の可能性のある場所を避けるなどの方法があります。
②については、感染者との接触を避ける、マスクの着用、手洗いの実施などの方法があります。
③については、ワクチンの接種(新型コロナウイルス用のワクチンは、まだ開発段階に入ったばかりです)などがあります。
ワクチンはまだありませんので、現段階で採れる対策は、ウイルスが広がらないようにすることやマスクの着用、手洗いの励行などになります。
さて、一口にウイルスが広がらないようにすると言いますが、実際どのような方法を採れば広がらなくすることができるのでしょうか。
中国政府は、湖北省の武漢市を封鎖するという措置を採りました。
1月31日現在、中国で感染者数9,658 名、うち、湖北省が5,806 名です。
湖北省ではすでにパンデミック状態(フェーズ6)になっています。中国の他の地域ではまだその状態にはなっていないようです。また、中国以外の国では22 か国で感染者数118 名となっていて、コントロールできる状態です。
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湖北省 死亡者204/感染者5806 = 死亡率 3.51 % 他 死亡者 9/感染者3852 = 死亡率 0.23 % 外 国 死亡者なし/感染者 118
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都市を封鎖するというだいぶ強硬な手段ですが、広がりを防ぐという点からはある程度の効果が見られます。
日本でも入国制限をしろ、という声が大きいようですが、収束するまで何か月もかかります。
社会生活が維持できますか、経済的に大丈夫ですか?
3 現段階での新型コロナウイルス対策の目標は、
ワクチンができるまでの間、パンデミック状態になることを防ぐ、あるいは、なったとしてもできるだけ小さく済ますことです。
ワクチンができてしまえば感染しても症状が出ませんから健康問題にはならないわけです。
2009 年に発生した新型インフルエンザ(豚インフル)も同じでした。世界中の人が感染/発症を起こす可能性がありました。世界中に広がり(1年強で感染者推定150 万人、死亡者1.8 万人)パンデミック状態にもなりました。でも、今日ではワクチンができていますので、たとえ患者が出ても大騒ぎされることはありません。扱いは普通の風邪と同じです。
しかし、ワクチンがないときには、感染者をできるだけ少なくすることは重要です。これによって大流行をコントロールすることができます。
・感染者をコントロールする(入院、行動制限、マスク着用など)。
・感染者と接触のあった濃厚接触者を観察下に置く。
・感染原因、感染場所が把握できれば、原因を取り除いたり、消毒する。
これらは、中国や諸外国でもすでに行われている、あるいは進められていることです。
何しろウイルスという目に見えないものを相手に、膨大な数の感染可能な人を抱えて、ワクチンなしに戦うのですから大変です。
人の数が増え、人の移動が増え、物の移動が増え、そのことによって社会が成り立っている現在、人の移動や物の移動を止めてしまったら社会が成り立ちません。ある程度のリスクを受け入れながら、大流行を起こさないようにコントロールし、一日も早くワクチンを開発することです。
人に感染し、病気を起こさせる新型のウイルスが発生したら、そうする以外には手立てはないのです。
しばらくの間は、感染者が増えるのを見ているしかありません。これだけの感染可能者数を抱えているのですから。でもいずれ収束するのです。