このブログは、日本酒×スイーツ ペアリング研究サイトです。
日本酒とスイーツのペアリングを研究している中で、今回チャレンジしたのは水無月。
「甘さ」が突出している和菓子と日本酒のペアリングに苦戦が続いていますが、
そんな中、水無月とペアリングする日本酒として選んだのは、まさかのパック酒!
これがなんと、日本酒なのに「あんこに煎茶」的なペアリングになりました!
水無月の特徴
水無月は、6月の終わり「夏越の祓(なごしのはらえ)」に食べる、京都発祥の和菓子。
白いういろう生地の上に、
たっぷりの甘い小豆をのせた三角形の形が特徴で、
氷を模して暑気払いを願う行事菓子でもあります。
もっちりとした食感と、
品良くしっかりした甘さ、
小豆のコク。
香りは穏やかで、
派手さはないけれど、
6月になると水無月を食べないとそわそわする
私たち京都人にとっては、
とても身近な和菓子です。
あまりに身近すぎて、
全国的な和菓子なんだと思い込んでいましたが、
そうではないのですね。
先日三重県の方に「水無月を知らない」と聞いて
そりゃぁもう、びっくりしました!!
水無月の味わいまとめ(★5つ満点)
-
塩味:☆☆☆☆☆
ういろう生地・小豆ともに、塩気はほとんど感じられない。
(塩味で味を引き締めるタイプではなく、甘さが主体) -
甘味:★★★★☆
主役はやはり小豆の甘さ。
ただし、べったりした甘さではなく、“古典的なコクのある甘味”。 -
酸味:☆☆☆☆☆
酸味は感じられない。
発酵や果実系の要素もなし。 -
旨味:★★☆☆☆
小豆由来のうまみはあるが、シンプルでやさしい。
昆布や出汁のような強いうま味とは異なる。 -
苦味:★☆☆☆☆
苦味は基本的にないが、ほんのり小豆の皮の渋みを苦味的に感じることも。
日本酒と水無月、ペアリングのポイント
水無月のように「砂糖を多く使っていてとても甘い」和菓子は、
正直ペアリングがとても難しいジャンル。
日本酒を合わせたとき、
スイーツの甘みに日本酒の甘みがかき消されてしまうんです。
その結果、日本酒がすっぱっく感じてしまいます。
まずくなるんだったら、ペアリングする意味ないですよね。
さらに、例えば吟醸系などフルーティな日本酒を合わせると、
日本酒が持っている鋭い酸が水無月の甘みを切ってしまい、
せっかくの甘い余韻をまったく楽しめなくなってしまいます。
じゃぁあえて日本酒合わせなくてもいいのでは?
王道の煎茶でいいのでは?
その通りですが、
そこをあえてやるのが、このブログ。
「甘さが主体のあんこ菓子と日本酒ペアリングは難しい」という限界に挑戦したいのです!
この「極めて甘い」水無月と日本酒をペアリングするのに、
日本酒サイドで考えた方向性は3つ
1.貴醸酒(きじょうしゅ)
2.甘口熟成酒
3.個性の薄い日本酒
1.貴醸酒
貴醸酒というのは、日本酒を仕込む際に
仕込み水の代わりに一部日本酒を使うという特別な製法の日本酒。
それにより梅酒並みに甘くなります。
酸味も強いものが多いですが、
通常は熟成されて出荷されるので、
酸味はまろやかになり、
水無月の余韻に対して悪さをしないのではないかと推測します。
2.熟成酒
水無月の落ち着いた風味や小豆のコクが
熟成された日本酒のそれと共通します。
ただし、水無月に負けない甘さを持っている必要があります。
3.個性の薄い日本酒
水無月のように「甘い」スイーツと日本酒のペアリングが難しいのは、
日本酒の甘さを消してしまうから。
それなら、甘さを期待しない日本酒を持ってきたらいいのでは?
という逆張り発想です。
しかも、酸も少ないほうがいいとくれば、それはつまり
個性の薄い日本酒ということになりますね。
水無月とペアリングする日本酒
今回、水無月とペアリングする日本酒に選んだのは…
月桂冠 上撰 紙パック!
スーパーで買えるおなじみのパック酒。
いわゆる「のっぺりした酒」であり、
香りも味わいも控えめ、
飲み口はやや甘口寄り。
実は以前「柏餅」のペアリングで難航していたときに
この月桂冠上撰紙パックを合わせたところ、
意外にも、いいペアリングだったんですよね。
お互いを高め合うマリアージュではないものの、
柏餅の良さを消さずに、甘味をすっと切ってくれる、
いわゆる煎茶的な役割になったのです。
今回は月桂冠紙パック上撰の、
甘い和菓子に対する「真の力」を確認すべく
あえて同じ日本酒を選びました。
水無月と日本酒、ペアリング結果
いざ、実食!
水無月を一口。
ややひんやりした食感、
京都人にはおなじみの、
あのもっちり感になつかしさを感じると同時に
品良くしっかりした甘味、
続いて小豆の旨味とコクを感じます。
飲み込んだやいなや、日本酒を少し。
やや水無月が口の中に残っているため
日本酒の甘みがすっと軽くなる。
でも、このくらいだったら悪くない。
むしろ、日本酒と水無月の甘み同士が打ち消し合って、水無月が軽くなる。
この感じ、水無月に煎茶を合わせてる感じと似ている!
日本酒にうっすら感じる糠くささが
水無月に旨味をプラスします。
これ、いい働き!
日本酒がわずかに持つ苦味が
水無月の旨味に輪郭を与え
単体で食べるより少し立体的で複雑なな味わいに。
そして舌の上に残っている水無月を
さらっとした質感の日本酒が流してくれて
余韻を引きずらないのがいい。
これ、かなり「水無月✖煎茶」に近いですよ。
おぉぉぉ。
いいではないですか!
正直、合わせることによって新しい世界を生み出すマリアージュではないです。
でも、スイーツを“邪魔しない”“少し際立たせる””キレ良くする”そんな感覚です。
-
月桂冠上撰は、甘口というほどではないが、五味バランスでは「甘味」が際立つ。
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その甘味が、水無月の甘さに埋もれず、ちゃんと残ってくれる。
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酒にほんのりある糠っぽさが、水無月に予想外のコクを加えてくれた。
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そして気づきにくいけど存在している苦味成分が、水無月の広がっていく甘さに輪郭を与えている可能性も。
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舌の上に残る甘みを流してくれる「さっぱり効果」も。
さらに、常温だと少しツンとしたアルコール感が出たので、
ぬる燗→燗冷ましにしたら、これが正解!
アルコール感がなくなり、
日本酒もよりやわらかな印象に。
月桂冠紙パック上撰の「チカラ」を再確認しました。
ちなみに、
水無月と日本酒(貴醸酒)のペアリング、
水無月と日本酒(熟成酒)のペアリングもやってみました。
水無月と日本酒(貴醸酒)のペアリングは、甘味レベルが揃うのと
水無月のもっちゃりした質感に貴醸酒の粘性ある質感が合うのですが、
なんせボリュームが重くなって、2口・3口と進むことができません。
水無月と日本酒(熟成酒)のペアリングは、
熟成酒の香り・味わいが強くて水無月に対してぼろ勝ちしてしまいます。
これでは繊細な和菓子がもったいない。
熟成具合がもっともっと穏やかで甘口の熟成酒だと合わせられるとは思いますが、
やはり「重いペアリング」になりそうな予感。
日本酒と水無月、ペアリングまとめ
水無月✖日本酒(月桂冠紙パック上撰) のペアリングは、
お互いを高め合う「マリアージュ」ではないけれど、
日本酒ペアリングが難しい「水無月(甘いあんこの和菓子)」に対して、
よくここまでがんばれたぞ!!!と褒めてあげたいです。
「甘い和菓子に対しての、煎茶的ペアリング」とでも言いましょうか。
それに、「紙パック酒」は、
日本酒そのものの風味は、
さすがに吟醸酒などの高級酒にはかなわないです。
(もちろん比較するのもヤボだとは思いますが)
でも、「合わせることで、相手を立てる名わき役」
という確かな価値を発見できたことは、今回とても嬉しかったです。
✅「日本酒×水無月(あんこの」の和菓子)」のペアリングをやってみた方は、どんなペアリングだったか、ぜひ感想をコメントで教えてください
✅「こんなスイーツと日本酒のペアリングをやってみほしい!」のリクエストも大歓迎です
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