日本酒の潜在的市場の大きさは、日本酒を飲む人の数で決まる。日本人が大勢住んでいるからといって、必ずしも日本酒が売れるとは限らない。また、観光客が多いからといって、日本酒が売れるとも限らない。一番日本酒を飲んでくれるのは、現地に住むアメリカ人である。


優先州を並べれば、次のようになるだろうか。

1、カリフォルニア

2、ニューヨーク/ニュージャージー

3、ワシントン(シアトル)、

4、フロリダ

5、ネバダ(ラスベガス)

6、コロラド

7、テキサス

8、アリゾナ

9、ハワイ

10、イリノイ


人口の伸び率を考えれば、テキサスはいずれトップ3に入るだろう。トップ11-20には次のような州が続くだろう。

ミネソタ

コネティカット

オレゴン

メリーランド

バージニア

ノースカロライナ

ウィスコンシン

ミシガン

オハイオ

インディアナ


ちなみに、日本人コミュニティーとして知られている南カルフォルニア・サウスベイでは、日本酒よりも焼酎の方が売れる。また売れている日本酒銘柄は、日本国内で人気のブランドが多い。僕の印象では、日本人は一人一人好きなブランドが決まっていて、めったに浮気をしない。


観光客の多いハワイとラスベガスにも違いがある。日系人が多く住み、日本人観光客の多いハワイには数百店の日本食レストランがあるが、日本酒の売り上げは他州と比べてそれほどではない。一方、ラスベガスは、観光客が訪れるホテル直営の高級レストランで高価な日本酒が売れ、地元住民が訪れるローカルの日本食レストランでリーズナブルな日本酒が売れるという2層構造になっている。


テキサスにあるチャイニーズレストランでよく日本酒が売れる店がある。中国人が飲んでいるのかと思ってマネージャーに聞くと「ノー」の答え。日本酒を注文するのは100%アメリカ人だと言う。「アジアの料理だから、アジアの酒をペアリングしようと思うのでしょうね」とマネージャー。おおざっぱなアメリカ人の考え方は、日本酒市場をアジア系レストラン全体に広げてくれる。