新潟県にこれからアメリカ進出を希望する蔵元はないか、調査したことがある。ジェトロに聞いたところ「83社あるが、中堅以上はほとんど海外輸出実績がある」と言う。大体7割程度か。


有名ブランドの久保田、八海山、菊水などは30年も前からアメリカで流通している。久保田と菊水は、現地に駐在を置いているし、八海山は、アメリカ現地の酒メーカーと共同事業を行っている。


越乃寒梅も輸入会社のあるハワイを拠点に流通しているし、吉野川も米系卸しを使ってカナダにも流通している。上善如水は4社の輸入業者を使って新市場の開拓に取り組んでいる。ニューヨークには武蔵酒造を筆頭に中小の蔵を集めた輸入会社Niigata Sakeもある。


ほかにも、ロサンゼルスの日系マーケットで能鷹を、サンフランシスコの日本酒専門店でかたふねを、ダラスのチャイニーズレストランで君ノ井を見たことがある。どれも案外高額だった。


海外まで流通させた努力は認めるが、日本人客の多い日系マーケットとは言え、能鷹ブランドを知っている人がどれだけいるだろう。レアな吟醸古酒とはいえ1本4000ドルは高すぎないか。テキサスのチャイニーズレストランで日本酒を注文する客がどれだけいるだろう(後ほどコラムで検証予定だ。案外いるかもしれない)。


中小の銘柄も徐々にアメリカ市場に定着していくのだろうか。それともアメリカ国産酒やソジュとの競争で淘汰されていくのだろうか。ブランディングと流通の見直しが必要だろう。