「ん」と一文字だけ打ったメール。
意図せぬ10日間の入院断酒から再飲酒の急性アルコール中毒後は、どんどんおかしな症状が出てきました。
1、上司、同僚との四者面談で
2、内科の待合室でのこと
3、震える冷たい手で書いた言葉
1、
6月2日、急性アルコール中毒退院後に会社の同僚と電話をしています。なんか様子がおかしい。
努めて明るくしているような・・・私は電話を代わってもらいました。「なんか様子が変じゃないですか?」「そうですね。話がかみ合わない」そして上司からも電話が入り「近くの喫茶店まで行くので
お母さんも一緒に会いましょう」と言う事になりました。約束の時間を待つ間、
長男は「母さんも一緒と言う事は・・・」としきりに気にして、病院から渡された検査結果の肝臓数値に
マーカーで線を引いたりしています。
面談で私は急性アルコール中毒後のおかしな様子を「酔っぱらって意識がなかったんで覚えてないのは当然ですよね」と息子をかばうような発言をしてしまいました。
息子も用意していた検査結果を会社の方に説明していますが、やっぱり「肝臓の数値はさほど悪くはない・・」などと、やらかしてしまったことの言い訳しているよな感じでした。
・・・会社の方も違和感を感じられて、これから毎日電話連絡をするようにとのことで別れました。
その後外食するつもりでいたのですが、息子はまた動きたくない様子です。
一番近くの行きつけの居酒屋に入ったものの食もお酒も進まない。
表情が硬く全く笑わない。こんな長男を見るのは初めてでした。「どうしたの?何か言って。
言葉で言えないならメールで「ん」だけでいいから」と言ったところ、
目を閉じて小刻みにまつげを震わせながら打ってきたのが「ん」の一文字でした。
2、
6月4日 、薬の副作用で10日間の入院、その後の急性アルコール中毒1日入院を
かかりつけの内科に報告に行きました。私はここ数日のおかしな様子を事細かく書いて
お医者さんに見せようと準備して付き添いました。
待合室でのことです。よくわからなかったのですが「その文章を先生に見せるのはおかしい・・・」
と言う事を必死に訴えてきます。だんだん興奮してきて汗をびっしょりかいて、
だんだん声も大きくなります。「待合室だからそんな大きい声を出しちゃだめだよ」と言うと
「じゃあ、外に出て話そう」と・・・!?今まで長男から聞いたこともない言葉だったので驚きました。
あまりに驚いたのでその時に家で待っている次男にメールをしました。
「優一の様子がおかしい。一言では説明できないけど」
次男は全くわからなかったと思います。
受診が始まるとさっきの長男とは打って変わっていつもの穏やかな様子で先生と話しています。
私の書いてきた文書は目を通してくれましたが、さほど問題にはされなかったようです。
それで安心したようです。長男は尊敬する先生に自分がアルコール依存症であることを
知られたくなかったんではないかと思いました。私はたった今しがた起こった待合室でのことも伝えようと、書いたメモを長男に見えないように後ろから見せていましたが先生は気づいてくれませんでした。
それでも私が心配するので、先生は精神科への紹介状を書いてくれました。
「【紹介状】双極性障害の疑い ・アルコール関連疾患・・・・・・・・
実際に対面して話を聞いてみるとそれほどには違和感を感じず十分に理解力もあって、・・・・・・・家族が精神状態を大変に心配されているので、貴院を紹介させていただきました。」
いいえ、先生。絶対おかしいんです。心配しすぎなんかではありません!
3、
6月4日夜、 お酒は控えめにしようと、飲む量を決めることにしました。
つじつまの合わない話になるので「違うよ」というと
「違うって言うとわかんなくなっちゃうから~~!!!」と、興奮気味になってしまいます。
記憶があいまいなのを問うと、尋常じゃなく冷たい汗をかいた手で私の手を握り、
必死に何かを伝えようとしてきました。
※ そして震えが収まったころに書いてくれたメモです。きれいな字に戻っていました。
掛け布団の下にお酒が隠してあるのを見つけました。
1日でお酒を控える約束は破られました。
この時はそんなにもコントロールができないとは思っていなかったので「私が飲んでや
る!」と怒って飲もうとすると、長男はそのお酒を台所のシンクに捨てました。
自分でもアルコールが原因でなにか大変なところまで来てしまっていることを感じていたのでしょう。
様子がおかしかったのは、アルコール依存症の合併症、鬱病状態や離脱症状そのものでした。
さぞ苦しかったでしょう・・・辛かったでしょう・・・