中継ぎの指標を計るものとして、今や当たり前にあるホールド。実はセ・リーグにホールドが導入されたのは2005年(パは96年)で、JFKやクアトロKが全盛だった頃以降である。
しかし、勝利の方程式という概念自体は90年代から存在した。このため、セリーグの90年代から2004年までの中継ぎ選手たちには、本当はホールドがついているのに記録上は勝ち負けとセーブしか残っていない、寂しい成績になっている。一応リリーフポイントとという指標はあったが、計算が面倒すぎて参考にはあまりならない。https://ja.m.wikipedia.org/wiki/リリーフポイント


ということで、プロ野球の全記録を見れるこのサイト(http://2689web.com/games.html)を使って、昔の中継ぎ陣たちにホールドをつけて記録を再び見ようではないか、という企画。今回は98年のベイスターズの中継ぎ陣達を見ていきます。

・98年横浜ベイスターズ
98年と言えば、ベイスターズが最後に優勝した年。どうしてもマシンガン打線が注目されがちですが、優勝を支えたのは間違いなくチーム防御率3.49の投手陣でした。98年以降、この防御率を上回った年は1度もありません(2001年の3.75が最高)。翌99年はマシンガン打線が全盛(チーム打率.294)を迎えるのですが、主力の離脱が重なってチーム防御率が4.41と大きく悪化した事で3位に落ちました。
特徴的なのは権藤監督が中継ぎローテーションという継投策をとったことです。勝ちパターンの選手達を何人も用意することで連投を避け、酷使を防ぐという策を取り成功しました。
ホールドを調べて何が見えてくるでしょうか。見ていきましょう。



ホールドの規定はこちら↓

本当はイニング間のランナー状況もホールドがつくかつかないか左右されるのですが、上のサイトには載っていないため、多少正確ではありません。抜け漏れもあると思うのでご了承を。

・調べた結果(全136試合、赤字は左腕)

佐々木 51試合1勝1敗1H45S 防御率0.64
島田 54試合6勝2敗20H1S 防御率2.36
横山 53試合4勝4敗9H       防御率3.09
阿波野 50試合4勝1敗15H 防御率4.67(先発1)
関口 42試合4勝5敗7H       防御率4.10(先発8)
五十嵐 40試合5勝2敗15H  防御率2.61
斎藤隆 34試合13勝5敗6H1S 防御率2.94(先発18)
河原 30試合1勝0敗2H        防御率5.47

その他のメンバーはホールドがありませんでした。

ちなみに上記の成績から先発成績を抜いた場合はこちら

阿波野 49試合4勝1敗15H 防御率4.41
関口     34試合1勝2敗7H 防御率5.86
斎藤隆 16試合2勝0敗6H1S 防御率0.93

中継ぎローテーション策の通り、島田、横山、阿波野が1年間フル回転したにも関わらず、全員50登板前後と綺麗に分散されています。ホールドに注目するとトップが島田の20H、 五十嵐、阿波野の15Hと続いています。ちなみに既にホールドが導入されていたパリーグのこの年の最優秀中継ぎ投手はダイエー・吉田修司21Hです。島田はセリーグ最多ホールドだったかもしれません。


このことから読み取れる権藤監督の采配、中継ぎローテーションの真髄を次の記事で考察していきます。