≪ひやおろし≫というお酒のお話し 其の1
▲山形県鶴岡市 大山(おおやま)のひやおろし 特別純米酒
8月に入り、全国の蔵元より、9月より発売の「ひやおろし」のお酒の
案内が、花山酒店にそろそろ届き始めました。
「新酒しぼりたて」同様、季節のお酒の代表格「秋のひやおろし」、
どのようなお酒をそう呼ぶのか、ご紹介いたします。
“ひやおろし”とは、その昔、新酒が劣化しないよう春先に
加熱殺菌(火入れ)したうえで大桶に貯蔵し、ひと夏越して
秋風が吹き、外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、
大桶から「冷や」のまま(二度目の加熱殺菌せず)樽に「卸して
(移して)」出荷したことから「冷卸(ひやおろし)」と
呼ばれていました。
通常のお酒は、出荷後の保管性を高めるために、二度目の加熱
殺菌を施したうえで出荷します。
しかし、加熱することで、熟成中に馴染んだ味わいの成分が
元の粗さに戻ってしまうことがあります。
花山酒店がお奨めする “ひやおろし”は、全て二度目の加熱殺菌を
せずに出荷されているため、冷蔵保管が必要となりますが、その分、
味わいの成分がよく融けあった、微妙に熟成した味覚の真髄が
味わえます。
豊穣の秋にふさわしい、穏やかで落ち着いた香り、まろやかで滑らかな
円熟の味わいが“ひやおろし”の魅力です。
「火入」とは━
清酒を60~65℃に加熱していわゆる低温殺菌することを
いいます。
火入れされる前の酒は、まだ酵母が生きており活動しています。
また、麹により生成された酵素もその活性を保っているため
酒質が変化しやすく、乳酸菌の一種である火落菌が混入している
恐れもあります。これを放置すると酒が白く濁ってしまいます。
「火入」することにより、酵母・酵素・火落菌を殺菌あるいは
失活させて酒質を安定させるわけです。