(戴が投稿しまーす)
どうも皆様、いつも愛読頂き有り難う御座います。
さて、2016年6月、菊口さんと初めて会った時のエピソードを書こうと思います。
リアルにどのような会話があったかを意識して、書いてきました。
日本酒に携わったことがない人間の1つの感じ方として見て頂ければ幸いです。
(菊口)「全国50以上の酒蔵様と特約店契約をしています。」
(戴)「特約店契約?」
という会話がありました。
【特約店とは】
以下の説明がわかりやすいです。
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/7538512.html
>>>>以下抜粋(全酒蔵がこうではないので、概念としてお考え下さい)
特約店となっている酒店は、蔵元と直接取引きされ、勝手な広告宣伝を許していません。
蔵元としては、そういう酒店を通すことでブランドイメージが守られ、
安売り競争の中で陳腐化しない、蔵元主導の販売ルートが確立できるという戦略があります。
デメリットは、勝手に値段を変えられない、勝手な販促が出来ないということと、
一定数量の販売を義務付けられるというようなことが挙げられます。
また、競合蔵元の日本酒は置けないということもあります。
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つまり
①酒蔵から直接購入できる正規代理店(一次代理店)
②酒蔵に対して商品普及をフルコミットした酒屋
役割の違う人達が同じゴールを目指して同じ船に乗っているようなものですね。
酒蔵の社外営業部という表現が一番ピンとくるかな。
【この時点で戴が率直に思った事】
①え?菊口さん特約店契約50蔵以上?!「愛を誓います」って
婚姻関係にある人が50社以上もいるってこと?どれが本命〜?(笑)
➡ビール業界で考えてみた。アサヒの正規代理店をやっている会社でサッポロもサントリーも同時に
やっているところって普通あるかな?「当社(ビール会社)をご贔屓に」って制度なんじゃないの?!
日本酒業界においては制度の意味がなくなっているような気が。。
②上記に「競合蔵元の日本酒は置けない」とあるけど、菊口さん置きまくり?
➡そもそも、日本酒の競合の明確な定義って何?国内ビール業界は大手数社が強いからわかりやすいですが、
酒蔵は1,400もある。競合だらけじゃないの?ビールはメーカー1社の売上だけで生計立てれる程市場が
あって、日本酒は厳しいのかもしれないな。市場毎のルールで、独自に変化?した結果かも知れない。
ご参考までに、私が作ったプレゼン資料の一部を掲載します。
日本酒の国内市場並びに輸出に関するオリジナルレポートに関心がある方は
菊口さんか私にFacebook or コメントで連絡下さい!
さて、話が逸れました。
③一番ビックリしたのが、「勝手に値段(売値)を変えられない」こと。
(戴)「え、定価って電化製品でいう希望小売価格じゃないんですか?」
(菊口)「法律的に縛りはないのですが慣習的に特約店は定価以外では販売できないです。」
(戴)「それを酒蔵が決めるってことは、再販価格の指定で独禁法違反じゃ?」
(菊口)「所謂、暗黙の了解。だからそれが破られているケースがあった場合蔵も
それを理解しているからか余り強くは言ってこない。」
<再販価格の指定とは(独禁法違反!)>
え〜酒蔵の直販価格ならまだしも、
代理店の販売価格を決めているの〜
(戴)「変な割引によるブランド崩壊等の懸念は分かるけど、品質管理もして、高く販売する努力
をしても価格のキャップがあるとなかなか報われませんね。全然自由競争ではないですね。」
(菊口)「銘柄によっては人気過ぎて、転売され、市場の2-3倍で売られているお酒もあります。」
(戴)「それは日本酒に限ったことじゃないですよね?アイコス等もそうですね。」
(菊口)「どの業界にもありますね。蔵は、そういうことを是正したいので特約店の販売価格
は定価ということでキャップをして市場管理しています。」
(戴)「なるほど。理屈上は合理的です。特約店の皆さんの本当たりの利益は同じですか?」
(菊口)「1本当たりの利益は平等に一緒です。」
(戴)「え?マジですか・・?平等なようで平等じゃないですよね?何故なら、新潟で酒屋を
経営するコストと東京駅のそれは異なりますよね。人件費も地代も出張の回数や移動距離に
よっても支出も異なります。特約店の定価販売というキャップが酒屋と酒蔵数の
減少を加速させている大きな原因の一つですね。」
(菊口)「そうなんです。売れていない時代に志だけで先行投資した費用も回収できていない
ものもあります。且つ、四合瓶3百円/本が平均的な利益水準です。」
(戴)「え、1000本販売して、売上総利益=30万円ですか。東京で仮に人件費30万円/人だったら、
お店の家賃も払えないですね。菊口さんの東京出張の交通費稼ぐのにどんだけ売らないと行けないん
ですか〜値段のキャップによって自分達で自分達のクビを締めているんですね。利益が上がらないから、
子供に継がせたくない人も増えているんですね。
親としてすごく自然で、酒屋という仕事を通して夢を見せることが現実的
にできる人が減っているということですね。
安いということは最終消費者が得しているようで、仮に適切な利益を関係者が取
れてないと開発費や設備投資に回す原資がなく、巡り巡って最終消費者に返って
きますね。好きな蔵がなくなったとかって。定価という特約店キャップは誰得?な制度ですね。
勿論、特約店制度自体を否定するものではなく、制度がすごくフィットしていた時代はあると思いますが、
時代は変化しているのに、制度は止まっているんですね。」
(菊口)「古い業界故の慣習ですね。業界の人らも変だな?と思っても、右習えで誰も最初に手を上げて
変えないというのが現状です。(涙)」
(戴)「制度はおそらく国内販売を想定して作られたものですよね。
海外だと国によって、税金も違えば、輸送費も輸送距離によって異なる為、
販売価格が違うのが当然。海外は仕入値が企業によって異なり、各々が
コストと利益を乗せて、自分達の販売価格を作ります。売れなければ、
マーケティング方法を変える必要がある。シンプルにそれだけですよね。」
(菊口)「本来はただ販売するだけでなく、マーケティングしてブランド形成して、お客様に認めてもらって
対価として費用をもらうというのが普通ですよね、満足した利益が取れていると思っている酒蔵は多くないです。
本音はもっと採算改善したいと思っています。」
(戴)「そう努力すべきですよね。なんか見ていたら純米大吟醸は相場がxx~○○円だからこれぐらいの
定価にしようという感じで決めている感が半端ないです。自分達から差別化要因がない価格競争に
持ち込んでいる様に感じます。そもそも市場に価値を問いかけているのか?同じお酒でもワインが
何故1本1,000円のものもあれば、数万円のものもあるかって僕は考えます。
原材料費とかで考えた瞬間、もう無理です。ずばりブランドです。ストーリーやこだわりにどれだけ
価値を感じてもらっているかに尽きると思います。ワインは欧米が100年以上も前から時間と労力をかけて、
ブランディングに注力してきましたが、日本酒ってここ最近ですよね?
日本国内が縮小することが避けられないのであれば、業界としての課題は明確で、
海外市場をどう作るかじゃないんでしょうか?」
(菊口)「そうなっすよね。どんだけITを導入しようが、市場が大きくならない限りは、プレーヤーはシェア争い
をするしかないんです。だからここ最近海外にすごく興味があります。」
(戴)「僕も業界の外から来たという意味では新参者なので、国内の制度をどうこうしようと言うのは無理があるし、
それよりも海外で新しい市場を作ることで、日本酒業界全体にいい影響をもたらしたいです。色んな業界独特のルール
が適応されないという意味でもすごく動きやすいですし。定価2-3千円の日本酒でも高いと思って購入しない人が多い
日本でも、経済が成長している国であれば、1万円でも価値を認めてくれる可能性があります。
高級車千千万円や億ションをポンポン購入する人が多い外国があって、彼らからすれば、1万円も20万円も変わらない。
そこに出す価値があるかだけです。無理に市場が縮小している日本で売る必要なくないですか?あえて、
売上を日本一本足打法にすることでリスクを背負い込んでいますよね?同じ売上でもそのうち10%を海外に移すことが
出来れば、経営リスク分散化ですよ。このままだと業界全体は下降一直線ですよ。多分、これが商社出身の僕ができる
日本への恩返しだと思います。」
(菊口)「そう思っていても、なかなかそれができる人が少なかったんですよね。点で海外攻めている人がいるのですが、
影響力を考えた時に、線や面で攻めている人は余りいません。」
(戴)「なるほど。僕達の価値観に共感頂ける方々と組んで、日本で特約店の方が当たり前にやっていたことを、海外でも同じように
愚直にやって、日本酒輸出のパイオニアになりましょう!
海外でも需要が増えているにも関わらず、その需要を満足さ
せれる人がいないんですよね。。。。勿体無い。」
道は平坦ではなく、長いですが、楽しみです。
(価格の概念に続く・・・)