竜血の山
このところ、小説でヒットしたものが少なかったけど、ひさしぶりにいい本に巡り会えました。
『竜血の山』
岩井圭也 著
昭和13年、北海道の水銀鉱山「フレシラ」で展開されるこの物語を読み終えた感想は美しいでした。
旧くからフレシラに住む「水飲み」の一族。
その特異体質ゆえの・・・・・・。
水飲みの一族であるアシヤを通して語られる昭和の鉱山の物語。
水銀に魅せられ、惹きつけられた人々。
アシヤの少年時代から始まりはするけど、成長物語ではない。
常に物語を覆っている哀しみの膜のようなもの。
華々しい活躍をする者もいなければ、心躍るような冒険譚もない。
でも、何か読み進めずにはいられないような魅力をこの小説は持っている。
終盤、水銀が今の社会で求められているのか、役に立つのかと問われ、
「私たちが決めることではない。何が役に立つかなんて誰にもわからない」
と答えるそのセリフに共感。
「役に立つ」
それも、すぐに、わかりやすい形で役に立つものばかりが評価される今の社会にあって、よく考えてみなければならないことです。
日本酒だって同じです。
要不要、役に立つ・立たないだけで価値をはかられたら何も言えませんが、人間ってそれだけではありません。
この物語で、水銀はまさに時代の趨勢によって重宝されたり不要とされたり。
まさに、「何が役に立つかなんて誰にもわからない」という言葉を体現しています。
いろいろと考えが広がり、深まり、物語の美しさそのものも楽しめる作品でした。
たぶん、そう遠くないうちに映画化されるんじゃないかな。
ドラマ?
いずれにせよ、映像化はしそうな気がします。
ただ、間違っても日曜9時枠のノリにはしてほしくない。
となれば、やっぱり映画かなぁ。
なんとなくキャストも浮かんではいるけど、実際に映画化されるのを楽しみに待ってます(^ω^)
