【山間(やんま) 仕込み5号 無濾過生原酒】
このお酒のデータは…
●蔵元 新潟第一酒造(新潟県,
●特定名称ほか 特別純米 無濾過生原酒 中搾り直汲み
●原料米 新潟県産「高嶺錦」(精米歩合 60%?)
●酸度 非公開 ●アミノ酸度非公開 ●酵母 ?
●日本酒度 非公開 ●アルコール度 16.0%
●酒造年度 H23BY
「エスプレッソ」日本酒!【山間】
2月に入ってからも「最強寒波」の勢いは全く衰えを見せず、3日の「節分の日」には沖縄を除く全国46都道府県の全てで気温が氷点下を記録し、各地で観測史上の最低気温を更新するという異常な寒さとなりました。
そんな寒さの中、先週の「而今」に引き続き今週末も待ちに待っていた一本が届きました,それがコレ、
【山間(やんま) 仕込み5号 無濾過生原酒】です。
これは、新潟第一酒造の熱き造り手「武田良則」杜氏が醸した、今期の仕込み5号の「特別純米」スペックの無濾過生原酒で、モロミを搾る際に酒質が最も安定している「中搾り」の部分を選び、しかも柄杓で一本一本丁寧に瓶詰めした「直汲み」の限定酒です。
香りのトーンは強めで、「天津甘栗」のような甘い焼き菓子の香りや、「加糖タイプの缶コーヒー」を想わせる甘い焙煎香があり、「ほのかに香ばしさを伴った甘い香り」が感じられます。
口当たりは強めで、艶やかな甘味と舌にジワリと浸み込むような旨味,そしてコクのある苦味や絶妙な渋味が口の中で次々と展開してゆきます。
後口はしっかりとしていて僅かな発泡感があり、余韻には個性的な甘苦味と心地良い渋味が長く続きます。
コクやボリューム感も充分にあり、「甘味と苦味と渋味が複雑かつ魅惑的に絡まり合った、【エスプレッソ日本酒】と表現したくなるような味わい」の「ヤバうま酒」でした。
この魅惑的な甘苦味のお酒には、料理は何も必要ないと思われましたが、昨シーズンに「山間シリーズ」を呑んだ時の経験から、「濃厚な旨味」ということをキーワードにこんな料理を2品選んでみました。
まず1品目は【ボーフォール・アルパージュ】です。
「ボーフォール」は、アルプスの山々が連なるフランス東部のサヴォア地方の「山のチーズ」で、その中でも標高1500m以上の高地で放牧された牛のミルクを原料とし、夏の間だけ山小屋(シャレ)で造られるものに限り、「アルパージュ」という名前が付けられていて、その希少性から通常のものより高値で取引されています。
「クルミ」を想わせる強めのナッティな芳香があり、まさに「旨味の固まり」といった感じの濃厚な旨味とミルクの甘味があり、その一方で塩味はハードタイプチーズとしては比較的控えめです。
「山間」と合わせてみると、このお酒の素敵に甘苦くて渋い味わいと「ボーフォール」の凝縮感のある旨味とが、予想を遥かに上回る複雑かつ完璧なマリアージュを見せてくれます。
あっという間に一升瓶が空になってしまいそうなペースでお酒が進んでしまう、「危険なほど」相性の良い組合せでした。
続いて2品目は【アカモク(ギバサ)のとろろ】です。
「アカモク」は、「メカブ」や「昆布」etc.と同じホンダワラ科の海草で、ミネラルや食物繊維,ポリフェノールetc.を豊富に含むことから、近年は健康食品として注目が集まっていますが、私の故郷の秋田では「ギバサ」という名前で呼ばれていて、昔からご飯のおかずや味噌汁の具として日常的に食卓にのぼっていました。
今回は湯通ししてから細かく刻んだものに、少しだけ醤油をたらして食べてみましたが、「山芋のとろろ」のような粘りとシャキシャキとした歯応えがあり、独特の磯の香りが口の中にフワリと広がった後で、舌の上にしっかりとした旨味が長く残ります。
そのタイミングで「山間」を合わせてみると、このお酒の魅惑的な味わいが全く影響を受けることなくそのまま持続してゆき、そして余韻にのみ「アカモク」の旨味が戻ってきます。
やや「アカモク」の味が消されてしまっているような感もありますが、「山間」の個性的な味わいを邪魔しないという点からすると、相性的には○と言っても良いでしょう。
ちなみに、今回は一升瓶サイズで購入したので、約1週間にわたってこの「山間 仕込み5号 無濾過生原酒」を愉しんだのですが、開栓してから3日以上日数が経って、後口の発泡感がある程度落ち着いた状態のものを、あまり冷やし過ぎずに12~15℃位の温度で呑むのが、このお酒の個性である「甘苦くて渋い大人の味わい」を、最も引き出してくれる呑み方のように感じられました。
それにしてもこの「エスプレッソ日本酒」,本当にクセになってしまう危険な味わいですね…。