■お米から造る【果実酒?!】 | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【而今 純米吟醸 雄町 無濾過 火入れ 

■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  このお酒のデータは…
蔵元 木屋正酒造(三重県,名張市,本町)

特定名称ほか 純米吟醸 無濾過 火入れ

原料米 「雄町」(精米歩合 50%) 

酸度 1.7 アミノ酸度 1.3

日本酒度 +2 アルコール度 16.0%

酒造年度 H22BY

お米から造る【果実酒?!】
 9月21日に関東地方を直撃した大型の台風15号は、夕方の帰宅時間帯の首都圏の交通機関を完全にマヒ状態にし、その影響で多くの人々が帰宅難民となりました。

 そんな台風の通過と共に、長かった東京の残暑もやっと収まりを見せ、ようやく秋風が感じられるようになりましたが、そんな「秋の訪れ」を想わせる夜に選んだ一本は、
 【而今 純米吟醸 雄町 無濾過 火入れ】です。


 これは、三重の木屋正酒造から今年の3月に出荷された、「純米吟醸 雄町 無濾過生酒」の「火入れ&熟成バージョン」で、出荷量が非常に少ない為に入手困難なお酒なのですが、今回はNET上の酒屋から毎月購入している、「日本酒領布会」の中の一本として呑むことができました

 香りのトーンはやや強く、「熟したマンゴーのようなトロピカルフルーツの香りや、「ラベンダー」を想わせる花の香りがあり、「甘く華やかで、フルーティーな香り」が感じられます。

 口に含むと、艶やかかつ透明感のある甘味と鮮やかな酸,そしてギュっと凝縮された旨味が、トルク全開でダイナミックに押し寄せてきます。

 余韻には僅かに苦味も感じられ、後口はキレの良い酸と共に不思議な程にスーッと引いてゆきます。

 味わいのボリューム感もしっかりとあり、「火入れとは思えない程ジューシー感が残る飲み口で、果実味タップリの魅惑的な味わいのお酒」でした。


 このお酒は、料理が何も無くてもお酒単体で十分に呑めてしまいますが、先日6年ぶりに法事の為に秋田に帰省した際に、帰りに秋田空港の売店で買ってきた秋田の郷土料理と合わせてみました。

■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  まず【比内地鶏の燻製です。
  「比内地鶏」は、日本三大地鶏の一つと呼ばれ、秋田の比内町で放し飼いにされていて、余分な脂肪が少なくてコクのある引き締まった肉質が特徴の地鶏です。

 これはその比内地鶏を軽めにスモークしたもので、程好い塩加減で噛み締めていると鶏肉の旨味が滲み出てきます。

 「而今」と合わせてみると、このお酒の迫力のある味わいに比内地鶏の繊細な味わいが一瞬包みこまれてしまいますが、余韻には再び比内地鶏の凝縮感のある旨味とほんのりとしたスモークフレーバーが戻ってきます。

 どちらかというと、料理がお酒の美味しさを引き立ててくれるような、そんな印象を受ける組合せでした。


■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  続いては【みずの実の醤油漬けです。

 「みず」は東北地方で採れる山菜で、春~夏にかけては主に茎の部分を食べますが、秋になると茎の先端部分に通称「みずの実」と呼ばれるコブ(むかご)が出来ます。

 これはその「むかご」の部分を醤油漬けにしたもので、独特の歯応えと粘りの中に何とも言えない旨味があり、一度食べるとクセになる味わいの珍味です。

 お酒と合わせてみると、こちらは「而今」のダイナミックな味わいにも圧倒されずに踏み留まり、そしてお酒と珍味の両方の味わいの個性が、口の中で互いに絡まりながら持続してゆきます。

 ちなみに秋田の家庭料理では、この「みずの実」を味噌漬けにするのですが、個人的には醤油漬けよりも味噌漬けにした方が、日本酒との相性が更に良くなるように思われました。

 さて、今回呑んだ「而今 純米吟醸 雄町 火入れ」が、私にとっては平成22酒造年度の「而今」ブランドの飲み納めの一本となり、この後は次の平成23酒造年度の「而今」の新酒を待つこととなります。

 今シーズンも「無濾過生原酒」から始まって「火入れ」タイプまで、様々な「而今」ブランドのお酒を呑んできましたが、どれもこれも「而今」ならではの、まるで「お米で造った果実酒?!」のようなジューシーな味わいで、もはや「異次元レベル?!」と言える美味しさをタップリと堪能させてもらいました。

 今から次のシーズンの「而今」シリーズの登場が待ち遠しいですね~。