■米の魔術師が醸す【弁慶】の酒 | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

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●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【上喜元 純米大吟醸 弁慶】 

■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  このお酒のデータは…
蔵元 酒田酒造(山形県,酒田市,日吉町)

特定名称ほか 純米大吟醸酒 原酒 氷温熟成

原料米 「弁慶」(精米歩合 40%) 

酸度 1.5 アミノ酸度 ?

日本酒度 +3 アルコール度 16.5%

酒造年度 H22BY

米の魔術師が醸す【弁慶】の酒

 7月18日の「海の日」は、前日の夜から一晩中呑み続けたまま、明け方のワールドカップ女子サッカー決勝戦のBS放送にハマッてしまい、目が覚めた時は既に昼過ぎとなっていました。

 そんな寝不足気味の祝日の夜に、「なでしこジャパン」優勝の余韻に浸りながら呑んだ一本は、
 【上喜元 純米大吟醸 弁慶】です。

 これは山形の酒田酒造が、幻の酒米と呼ばれる「弁慶」を40%まで磨いて醸した純米大吟醸の原酒で、蔵元で半年間氷温熟成させてから出荷されたものです

 この「弁慶」というお米ですが、はっきりとしたルーツは判っておらず、戦前は兵庫県一帯で栽培されていたのですが、その後他の酒米に取って代わられ長い間途絶えていて、近年になってからようやく復刻栽培されたという酒米です。

 香りは、「マスクメロンを想わせる果実の香りや、「サルビア」のような花の蜜の香りがあり、「ほんのり甘く華やかで、気品のある香り」といった印象です。

 口当りは滑らかで、上品な甘味とメリハリのある酸,そしてきめ細かな旨味が、ごく自然に優しく調和していて、原酒としての味の密度の濃さもちゃんと感じられます。

 後口はキレが良く余韻には僅かに苦味もあり、「飲み口は滑らかながら、後からしっかりとした味の力強さが感じられる、程好く呑み応えのある味わい」のお酒でした。

 このお酒には、季節を感じさせる惣菜を2品合わせてみました。
■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  1品目は
【長茄子の揚げ浸しです。
 「長茄子」は代表的な夏野菜で、素揚げにして出し汁に浸した「揚げ浸し」は夏の定番料理の一つです。

 今回購入してきたものは、長茄子に「蛇腹」のような細かな切り込みがびっしりと入っており、そこにやや甘口の出し汁がタップリと浸み込んでいて、口の中で柔らかくとろけてゆきます。 

 「弁慶」と合わせてみると、料理とお酒の味わいの濃さとボリューム感のレベルが丁度良く合い、そしてどちらの味の個性もそのまま残しながら口の中で絡まり合ってゆきます。

 程好釣り合いの取れた、仲の良い者同士といった印象の組合せでした。 

 

■【利き酒師世界一】のひとり呑み■  2品目は【鰻の白醤油焼き】です。

 「土用の丑」の日を前にした祝日ということもあり、近所の食品スーパーは「鰻の蒲焼」のオンパレードでしたが、「蒲焼き」ではこのタイプのお酒に対してはタレの味が強過ぎると思われたので、今回は「白醤油焼き」をセレクトしてみました。

 思っていたよりも淡白な味わいだったので、アクセントとして「柚子胡椒」を添えて「弁慶」と合わせてみると、このお酒の程好く呑み応えのある味わいが鰻の脂を口の中でうまく流し、お酒の方がやや上手になりながら「白醤油焼き」を包み込んでゆきます。

 また「柚子胡椒」の柚子の風味やピリリとした辛味に対しても、このお酒は全く違和感がありませんでした。

 ちなみに酒田酒造では、「弁慶」と同様に「幻の酒米」と呼ばれている「神力」,「穀良都」,「白玉」,「山田穂」etc.を含め、何と20種類以上もの酒米を使って酒造りを行っています。
 この蔵元が「酒米の魔術師」と呼ばれている理由が、今回この「上喜元 純米大吟醸 弁慶」を呑んでみてとても良く判ったような気がします。