【山間 仕込み5号 無濾過生原酒】
このお酒のデータは…
●蔵元 新潟第一酒造(新潟県,上越市,浦川原区,横川)
●特定名称ほか 特別純米 無濾過生原酒
●原料米 「高嶺錦」(精米歩合 60%)
●酸度 非公開 ●アミノ酸度 非公開
●日本酒度 非公開 ●アルコール度 16.0%
●酒造年度 H22BY
【深煎りデミタス系?】の甘苦酒
沖縄では、6月9日に早々と今年の「梅雨明け」が発表されましたが、関東地方はまだ梅雨の真っ只中で、今週末もジメジメとしたうっとうしい梅雨空となりました。
さて今宵選んだ一本は、
【山間 仕込み5号 無濾過生原酒】です。
これは新潟の第一酒造の武田良則杜氏が、地元の酒米を使って醸した今シーズンの仕込み5号の無濾過生原酒で、蔵元が本当に納得した出来栄えのお酒だけに、この「山間」(やんま)という名前が冠されるそうです。
「山間」シリーズのお酒は生産量が少ないこともあって、酒販店のホームページでは常時品切れ状態が続いていて、昨シーズンまではなかなか呑むことが出来なかったのですが、今シーズンからは取り扱い酒販店の数が少し増えて、ようやく購入出来るようになってきました。
香りは、「沖縄産ピーチパイン」のような果実の香りや、「綿菓子」を想わせる砂糖菓子の香りがあり、「トロピカルフルーツ系の甘くフルーティーな香り」が感じられます。
口当りは強めで、まずはやや濃密な甘味が押し寄せてきた後で、一瞬あざやかな酸が顔を覗かせ、続いてコクのある旨味,さらには香ばしい苦味や渋味が、甘味と複雑に絡まり合いながら口の中で絶妙に調和してゆきます。
コクやボリューム感も十分にあり、「まるでデミタスコーヒーを使ったリキュールのような、魅惑的な甘苦味が長く続く複雑かつ美味な味わい」のお酒で、呑みながら何度も「う~ん」と唸ってしまう程の美味しさでした。
この「ヤバうま」なお酒は、つまみが何も無くてもグビグビと呑めてしまう「危険なお酒」ですが、「山間 無濾過生原酒」の複雑な味わいに負けないような「珍味系の酒肴」を2品試してみました。
まずは【真いかの三升漬け】です。
「三升漬け」とは、「醤油」「青唐辛子」「米麹」をそれぞれ一升ずつ混ぜ合わせ、合計「三升」で漬けることから名前が付いた醗酵調味ダレで、これはその中に「するめいか」を漬け込んで熟成させたものです。
青唐辛子のピリッとくる辛さと米麹の甘味が、真いかの旨味をを引き立てていて、思わず炊き立ての白いご飯に乗せて食べたくなります。
ご飯の代わりに「山間」を流し込むと、このお酒の甘苦いフレーバーと、「三升漬け」の米麹の甘味や青唐辛子の辛味,そして醤油の香味etc.が、口の中で互いに絡まりあってゆきます。
お酒と珍味の両方の味の要素が、それぞれうまく共存してゆくような、なかなかユニークな組合せでした。
続いては【めふんの醤油漬け】です。
「めふん」とは、オスの鮭の「血腸(腎臓)」を塩辛にした北海道を代表する珍味で、これはその「めふん」を醤油漬けにしたものなのですが、色はどす黒く見た目もややグロテスクです。
恐る恐る口に入れてみると、塩気はかなり強くてしょっぱいのですが、意外にクセの無い醤油ベースの味で、口の中で「めふん」がゆっくりと溶けてゆきます。
「山間」と合わせてみると、このお酒の魅惑的な味わいが「めふん」のしょっぱさを一瞬にして消し去り、そして余韻には微かな旨味が引き出されてきます。
こんな「珍味中の珍味」に対しても、「山間」の持つ凝縮感のある複雑な味わいは、全く揺らぐことはありませんでした。
余談になりますが、新潟第一酒造には「山間」の他にもう一つ「越の白鳥」とういう銘柄があり、元々は同じタンクで仕込まれた「仕込み5号のモロミ」から、搾り始めに出てくる「あらばしり」と最後に搾り切った「攻め」の部分をブレンドしたものを「越の白鳥仕込み5号」として、そして真ん中の「中どり」の部分を「山間仕込み5号」として出荷しているそうです。
この蔵元の、「山間ブランド」に対するこだわりが感じられますね…。