【リンゴ酸高生産性多産酵母】の酒再び | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

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●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【一ノ蔵 純米大吟醸 米楽(MELA)】

■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…
蔵元 ㈱一ノ蔵(宮城県,大崎市,松山千石)

特定名称ほか 純米大吟醸 原酒

原料米 兵庫県産「山田錦」(精米歩合 40%) 

酸度 3.1! アミノ酸度 ?

日本酒度 -7! アルコール度 16~17%

酒造年度 H21BY

【リンゴ酸高生産性多産酵母】の酒再び

 ゴールデンウィークの真っ只中となった5月最初の週末は、いつもとはチョット気分を変えて、久々に池袋のデパ地下まで足を伸ばして酒と肴を物色してみましたが、そこで見つけたお酒がコレ、
 【一ノ蔵 純米大吟醸 米楽(MELA)】です。
 これは宮城の「一ノ蔵」の蔵元が、兵庫県産の「山田錦」を40%まで磨き、通常の約4倍のリンゴ酸を造り出す「リンゴ酸高生産性多産酵母」を使って醸した純米大吟醸の原酒を、1年間蔵で熟成させてから出荷した少し変り種のお酒です。

 ちなみに「MELA」とは、イタリア語で「リンゴ」を意味する言葉だそうです。


 香りは、「シードル」を想わせるリンゴ酒の香りや、「ユーカリオイル」のような香草類の香りがあり、「爽やかでフレッシュな果実の香り」が感じられます。

 口当りは軽やかで、まずはいきなり鋭角的で強めの酸が口一杯に広がります。

 甘味は控えめで旨味はほとんど無く、味の余韻も短くて、舌の上に爽やかな酸の刺激と僅かな苦味が残ります。

 コクやボリューム感は控えめで、「極めてシャープな飲み口で、リンゴ酸が際立つエクストラドライな味わい」の個性酒でした。


 日本酒というよりは、「極辛口の白ワイン」を呑んでいるような感覚のお酒なので、今回は酸味の効いた洋食のオードブルを2品選んでみました。 
■【利き酒師世界一】のひとり言■  まず1品目は

  【タコとトマトのイタリアンサラダです。
 これは「タコのぶつ切り」,「フルーツトマト」,「オリーブ」etc.を、レモンドレッシングみじん切りのオニオンで和えたイタリアンテイストのマリネ風サラダで、やや酸っぱめのドレッシングと、フルーツトマトの甘味とのコントラストが楽しめる前菜です。

 「MEL」]と合わせてみると、このお酒が持つ強めのリンゴ酸と、サラダのレモンドレッシングの酸味の強さのレベルが丁度良く合い、フルーツトマトの「酸味を伴なった甘味」との相性もOKです。

 「MELA」のスッキリとした味わいが、そのまま活かされてゆくような組合せでした

■【利き酒師世界一】のひとり言■  2品目は
【五島産 アジのマリネ】です。
 
これは長崎県の五島列島で水揚げされた真アジを、「グレープシードオイル」「アボガドオイル」,そして「穀物酢」を混ぜたマリナードに漬け込んだもので、程好く脂の乗ったアジに、それぞれのオイルの風味と穀物酢の酸味が良く浸みていて、その後に続く料理への食欲がそそられるようなアンティパストです。

 お酒と合わせてみると、「合わない」という程では無いのですが、この料理と組み合せることによって、「MELA」の余韻の苦味が口の中で増幅されて、やや違和感を感じてしまいます。

 どうやら「リンゴ酸」と、このマリナードに使われているどちらかのオイル(穀物酢ではないと思う)が同調しなかったようで、利酒師としてはチョット失敗の料理選択でした。


 実は、この「リンゴ酸高生産性多酸酵母」のお酒は、昨年の8月に「一ノ蔵」の蔵元が、「試験醸造酒」としてノンラベルで販売した時に既に一度呑んでいて、今回はスペックが一部変更されて正式販売しているのをたまたま発見し、もう一度改めて呑んでみたという訳です。

 確かに「リンゴ酸」が爽やかでユニークなお酒なのですが、この香味の分野は「白ワイン」「シードル」に任せておいて、「日本酒」で敢えて挑戦する必要は無いような気もしています。
 もちろん人によって意見は分かれる所だとは思いますが…。