■幻の酒米?【神力の酒】 | ■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

■日本酒と料理の相性を愉しむ…■

●季節ごとの日本酒とお酒のアテとの相性を愉しむ【お酒の歳時記】です… ●

【上喜元 純米吟醸 神力】
■【利き酒師世界一】のひとり言■  このお酒のデータは…

蔵元 酒田酒造(山形県,酒田市)
特定名称 純米吟醸 無濾過生原酒

原料米 「神力」(精米歩合50%)

酸度 1.6 アミノ酸度 ?

日本酒度 +4 アルコール度 16-17%

酒造年度 H20BY

幻の酒米?【神力の酒】

 5月中旬に、新型インフルエンザの国内での初感染が確認され、それ以降TVでは新たな感染者の発生の報道が続いています。

 休日とは言え、こんな状況下では気分的に人ごみの中に長く居る気にはなれず、買い物もそこそこに家に戻って呑んだくれることにしました。

 我が家の日本酒貯蔵庫(大型冷蔵庫の野菜室)から、今宵選んだのは

 【上喜元 純米吟醸 神力 無濾過原酒です。


 「神力」とは、明治初期~戦前まで主に西日本で栽培され、その後の品種改良により消えてしまった幻の酒米なのですが、近年になって各地の酒蔵と農家の連携から復刻栽培されていて、今回呑んだのは、「上喜元」の蔵元である山形の酒田酒造で醸された純米吟醸酒です。

 しかも、酒米「神力」の個性がより出るようにとの杜氏の考えから、無濾過(活性炭濾過で雑味を取り除かない),原酒(割り水をしない),生詰め(生で瓶詰め後一回火入れのみ)というスペックで出されています。


 香りはやや強めで、「熟した洋梨」「シナモン」を想わせるような甘い香りに、爽やかさを感じさせる「香草」の香りが組み合わさって、全体としては「やや甘酢っぱくて爽やか」といったイメージの香りです。
 口に含むと、まずは艶やかな甘味があり、続いてしっとりとした酸とまろやかな旨味が広がります。

 味の余韻は長めでコクやボリュームもしっかりと感じられ、全体的には「やや濃醇な印象の呑み口で、ジューシーな味わい」のお酒でした。
■【利き酒師世界一】のひとり言■


 今回はやや濃醇でボリューム感のある味わいのお酒なので、久々に中華料理と合わせてみましたが、まずは

 【牛肉とピーマンの細切り炒め】です。

 いわゆる「チンジャオロース」なのですが、肉厚のピーマンのほろ苦さとオイスターソースをベースにした濃いめの甘辛味が、口の中で合わせた瞬間は、「神力」の味の濃さのレベルよりもやや上手にも感じられます。

 しかしながら、こんな甘辛味の惣菜を食べるとアツアツの白いご飯が欲しくなるのと同じように、思わずお酒がグイグイとすすんでしまうような関係でした。


■【利き酒師世界一】のひとり言■  続いては、同じデパ地下の中華惣菜売り場で買ってきた、

 【海老と野菜の塩炒め】です。

 これは、プリプリの海老と野菜をとろみのある塩ダレで味付けしたものなのですが、「神力」の艶やかな甘味とシンプルな塩ダレ,そして海老の旨味がキレイに調和して、お酒と料理の両方がバランスを保ったまま美味しくなってゆく組合せでした。

 今回呑んだような「無濾過原酒」は、比較的味わいが濃醇でボリューム感がしっかりとあるものが多いので、中華の炒め物や甘辛系の料理との相性が全般的に良いように思われました。 


 余談ですが、酒田酒造の「上喜元」という銘柄は、通常は■【利き酒師世界一】のひとり言■ 右のラベルのように、ど真ん中に上喜元の文字が大きく書かれているのですが、今回は一番上のラベルのように「神力」の大きな文字の中央に、見落としてしまう程に小さく「上喜元」の文字が書かれています。
 つまりはそれだけ「神力」という酒米に対する思い入れが強いということで、日本酒のラベルは、時には中身のお酒に対する蔵元や杜氏の想いを語ってくれているものなのですね…。