全国放送のテレビ番組でも何度か取り上げられたことがある一風変わった弓削神宮ですが、熊本県人にもこんな神社があるとは意外に知られていない存在だと思います。
熊本市白川沿い、九州電力変電所の隣にあります。
御祭神:孝謙天皇、藤子姫
女帝である孝謙天皇に仕え功のあった法王(道鏡法師)が失脚し朝廷を追われ出身地であるこの地に戻ります。
ここで藤子姫を見初めて夫婦となり、藤子姫が色々な意味(大人な意味も含めて)で良い妻だったということで、東洋のラスプーチンとも称される稀代の遊び人の道鏡が良き夫として平穏に日々を過ごしたと言われています。
このように男女がうまくいき陰陽相整うことが万物生育, 豊作を意味するとして、村人が藤子姫を敬い崇めるようになったとされています。
この弓削神宮には孝謙天皇とその藤子姫(女神)が祀られているのですが、白川を挟んだ川向いにある「上弓削神社(別名: 弓削法皇社、弓削神宮と合わせて弓削神社とも)」には道鏡法師(男神)が祀られており、夜な夜な男神が川を渡り女神のもとへ通い、逢瀬を楽しんだと言われているようです。
ということで男女絡みなお話が色々とある二つの神社ということもあり両神社には性器をお祀りしてあります。
性器崇拝に関しては、天地陰陽の相合によって豊作を祈願したという古くからの信仰のあり方に関連付け、豊作祈願のために奉納したと考えられており、さらに夫婦や家族の和合、子孫繁栄の御利益があるとされているところに、いつの日からか浮気封じの願掛けまでが行われるようになっているようです。
本来、弓削神宮が女神、弓削神社が男神をお祀りしているのですが、神職さんによると途中より弓削神宮にも男性版がお祀りされるようになったそうです。
拝殿の前には、おみくじが差し込まれ痛々しい感もある男性版と円満石と銘打った女性版もありました。
手水舎の蛇口の隣にもそれらしきものが…。
以前は神殿周囲の玉垣の中に性器の形をした奉納品がうず高く積まれていたそうですが、大正の火災や昭和の洪水で焼失流出し、現在では納め処に奉納してあるものが確認できます。
納め処の内部には、恐らくは女性の思いのこもる釘を打ち付けた奉納品が数多くありました。
「性器奉納の由来」の看板には「時々この性器をいただいて帰る人もあるようです」との記載があり、「単なるオブジェじゃないし、人の怨念がこもってそうな奉納品を良く持って帰りますよね~」と神職さんとお話ししました。
またお話では、丑の刻参り(浮気封じversion)も以前はあっていたとのことで、境内の木には男性版を模したものが打ち付けてあったりしたそうです。
上弓削神社(弓削法皇社)は弓削神宮の川向かいの田畑の中にひっそりと鎮座しています。
御祭神:孝謙天皇
こちらは道鏡法師をお祀りしているという話だったのですが、弓削神社の御由緒看板を見ますと御祭神は弓削神宮同様に孝謙天皇になっていますし、文章的に由来自体がはっきりしません。
最後に道鏡法師がこの地で一生を終えたとあるので、この地で祀られたと解釈するのかもしれませんが、いずれにせよ御祭神としては名が挙がっていません。
こちらにも同様に以下のようなものが鎮座しています。
両神社ともに熊本市街地から見ると若干辺鄙な所にあるのですが、熊本インターからは近いため、熊本に車でお越しでお時間がある際には参拝されると宜しいかと思います。
御朱印にも、それらしき印が...。
弓削神宮の北東方向300mほどに上弓削神社も表示されています。
クリックいただければ幸いです。
にほんブログ村