九月節会・菊花酒

                      ちょうようせつ

陰暦9月9日は陽の数字が重なる「重陽節」として、菊花酒での宴が催されました。

収穫が無事に終わり、秋の気候の良い時期に高い丘や山に登り、一日楽しく飲食をした農耕儀礼が始まりとされます。

この日は赤い実のなった「ぐみ」の枝を頭にさして、災厄や邪気を払い、百病に効くとされる菊花酒を飲んで、疫病を遠ざけ、長寿を保つことを願ったのです。

江戸時代に書かれた本朝食鑑によると、

「菊花酒には2種類あって、その一つは菊の咲く沢の水でもって酒を造るもので、賀州に菊川あり、両岸に菊多し、秋になってその満開に咲いた菊の花を摘み、汲んできた沢の水と共に煮て、その液で酒を造る。

もう一つは酒に菊の花を浸して作る。」と書かれています。


この様に元旦節会に始まる節会の儀礼は

1月1日の新年には、先祖の霊を慰め、新しい年を祝う

3月3日の節句は、稲を田に蒔く重要な時期として、豊作を願う祈り

5月5日の端午の節句は、その育った苗を田に植え替える時期で、雨を呼ぶ船  

     上での儀式など、稲が無事に育つことを願う祈り

7月7日の七夕の節句は、風水害や虫の害がないことを願う祈り

9月9日の九月節会では豊作を歓び、それを感謝する宴


何れも稲作に係わる農耕儀礼が基となっています。


そのいずれの場合にも酒が重要な意味と、役割を持っており、宮廷の儀式では、

   9月9日の重陽の節句から、3月3日の桃の節句までは酒を温め、

     3月3日から9月9日までは冷たい酒を飲んでいました。