3、 自然を畏れ、神を祀る
私たちの先祖が水田稲作を取り入れ、少しでも多くの米を安定的に収穫するために、延々と気の遠くなるような長い時間をかけて、様々な工夫や努力を繰り返しながら、日本の国土を美しい水田が広がる肥沃な平野と、美しい森の国へと変えてきた過程などを書いてきました。
しかし、自然を相手とする農業では、いくら努力をしても乗り切れない問題
○ 地震・火山の噴火・洪水などの大規模な自然災害
○ 冷夏・干ばつなど・霜など、異常天候による凶作
○ 病気や虫害による不作
などが、その生活を脅かします。
江戸時代だけでも、寛永(1642~643年)・享保(1732年)・天明(1782~1787年)・天保(1833~1839年)などの大飢饉(ききん)が頻発して、悲惨な餓死者を無数に出たことからも、日本列島は災害列島ともいえるほど、自然災害が多く、その都度人々が悲惨な目にあってきたことが分かります。
古代の人々が、このような自然の脅威(きょうい)から逃れる唯一の方法として、「神にすがった」のは自然の成り行きで、
「神に祈る」ことで、
その脅威が少しでも和らぐことを願って、「神の祀り」を行ないました。
日本の神様は、八百万(やおよろず)の神といわれる通り、山や川、大きな岩や大木など、自然界に存在する少しでも意味のありそうなものに宿っておられ、水田稲作の神様は山におられることになっています。
そこで、いよいよ稲作を始める時期になると、その神様を里にまでお迎えして、豊穣を祈願する祀りを行い、秋の収穫が無事に終わると、神様に感謝の気持ちを伝えるお礼の祀りを行い、山へお帰り願うのです。
この春と秋に行う神の祀りが
春の祭り、秋の祭りとして、
神と人との一体感を強める大切な行事
となりますが、
祭りには「酒」が絶対に欠かせない物として
重要な役割を担うことになります