3、 自然を畏れ、神を祀る

⑤ 水田稲作が日本人の脳に組み込んだDNA

A, 勤勉さ

すでに書いた通り、水田稲作では、手を掛けてやれば手を掛けてやるほど収量が増えるので、先人たちは日の出から日没まで、寸暇を惜しんで田の仕事に励みました。

農作業に機械力が導入されるまでの、この2000年にも及ぶ農作業が、

               日本人を勤勉にし、

       それをDNAとして私たちの脳に組み込んでくれました。

最近は少し怪しくなってきましたが、それでも勤勉なサラリーマンが、日本の経済を支えていることに変わりはありません。


B 鋭い観察眼

真夏の暑い太陽の光を受け、水田の稲は猛烈なスピードで成長します。

その間先人たちは、執拗に生えてくる雑草と闘いながらも、稲の一株、一株の成長ぶりを細かく観察し、順調な生育を確認してゆきます。 

すると、何十万株、何千万株の中に、他の稲と比べると

ア 成長が著しく速く、早く穂が出て、早く実る → 早稲種の開発

イ 株の分蘖(ぶんけつ)の数が多い  → 多収穫種の開発

  ※ :稲や麦の根元から枝分かれする

ウ 飛び抜けて茎が長く、穂の長さも長くて、たくさんの実を付ける → 多収穫

エ 他の籾と比べて、一粒、一粒が大きい → 多収穫

オ 稲の背丈は低いのに、ちゃんと実り、収穫量は変わらない → 短稈

  (たんかん)種 :稲の丈が低いので、風水害に強い

カ 実った籾(もみ)が簡単には落ちこぼれない → 後の作業が楽になる

キ 病気や虫の害を受けにくい

ク 収穫した米を食べると、明らかに美味い

など、          

        突然変異などによる少しの変化や違いを見逃ない

              鋭い観察眼がDNAとなって

今も世界中から評価される、日本人の物作りに繋がっています。


C 手先の器用さ

ア 多少変形した田圃でも碁盤の目ように、縦横均等に苗を植え付ける

イ 刈り取った稲を同じ太さの束にして、乾燥や脱穀を容易にする

エ 稲わらを巧みに加工して縄(なわ)、草鞋(わらじ)、蓑(みの)、俵、筵(むし

  ろ)、座布団、雪靴など、など、あらゆる生活必需品を作りだす、発想の豊か

  さ

などが 

                DNAとなって、

         日本人の手先を器用にしてくれたのです。