世界陸上 テグ大会開幕!
世界陸上が始まりました。
8月27日から9月4日まで、男女47種目で熱い戦いの始まりです。
私は、学生時代は陸上競技1本で過ごして参りましたので、この2年に1度の世紀の祭典が、待ち遠しくて仕方ありません。
この世界陸上。正式には、世界陸上競技選手権大会ですが、1980年のモスクワオリンピックの西側諸国のボイコットを機に新設されました。
そのモスクワオリンピック当時、私は高校生でした。日本もアメリカに気を遣ってか、不参加を表明し、当時金メダル確実と言われた柔道の山下康裕選手やレスリングの高田裕二選手、そしてマラソンの瀬古利彦選手が、涙の記者会見を行い、オリンピックへの参加を懇願された事が、脳裏に焼きついています。
「国境が無い」といわれるスポーツの世界に政治が影響を及ぼす事は、今まで幾度かありましたが、4年に1度しかないオリンピック、選手にとっては選手生命に係わるもの…。実際にそれが影響し、栄光を逸した選手は少なくありません。悲しいものです。
話しを戻します。第1回大会は、1983年にヘルシンキで開催され、当初はオリンピック同様4年ごとに開催されていましたが、1991年東京大会以降、2年ごとに開催されるようになりました。オリンピックよりも世界記録や参加国・地域も多く、文字通り陸上競技の最高峰を決める戦いです。今回で13回目を迎えるのですが、今まで数々の名ドラマが繰り広げられてきました。
あのカール・ルイス(100m.・走り幅跳び・4×100m.金)が華麗なるデビューをし、セブゲイ・ブブカ(棒高跳び)の鳥人伝説が始まり、女子では東ドイツ選手団がサイボーグぶりをみせつけたのも、ヘルシンキでした。
また、アジアで初めて開催された東京大会で最も注目されたのが、男子走り幅跳びでした。ルイスとマイク・パウエルの戦いです。ボブ・ビーモンの不滅の記録(8m.90 メキシコ五輪)が破れるか?どちらが勝つか? が注目され、1回1回の試技ごとに国立競技場のスタンドは沈黙と喝采を繰り返したものです。勝ったパウエルは、8m.95の世界記録、残念ながら負けたルイス(2位;8m.91 追い風参考)ですが、この大会もやはり〝絵になる男〟を演じ続け、100m.は9秒86、最強チームで臨んだ4×100m.リレーで37秒50の世界記録で陸上ファンを酔わせました。
第11回大阪大会(2007)は、私も観戦しました。
タイソン・ゲイとアサファ・パウエルのライバル対決(男子100・200m.)が注目の的でしたが、まだ話題に出なかった(?)怪物ウサイン・ボルトが200m.で銀メダル(19秒11)を獲った大会でした。
〝大阪の暑さと湿気との戦い〟とも言われた大会でした。
前回までに日本選手が獲得したメダルは、金3、銀6、銅11の計20個。東京大会で男子マラソンの谷口浩美選手(ちなみに、私の日本体育大学の先輩です。)の金メダルが皮切りです。
さて、今回はと言いますと、私が最も注目しているのが、福島千里選手。100・200m.の日本記録保持者(11秒21・22秒89)ですが、とにかく強い。過去の日本人選手とは、ひと味もふた味も違います。まだまだ未完成の23歳ですが、どんどん外国人選手に揉まれ、夢の10秒台を目指して頂きたいものです。今日、100m.予選での走りが注目です。皆様、応援して下さい。
それにしても、ボルトは強い!
昨日の100m.予選を観られましたか?
過去にこれほど強い選手が居たでしょうか?
数々の栄光に包まれた、さすがのルイスも歯が立たないでしょう。
今後どこまで記録を伸ばすのか、世界が注目するところでしょう。
どこの世界でもそうでしょうが、スポーツ界で世界に君臨するのは、とにかくむずかしい。
トップアスリート中のトップアスリートが全世界から集結し、オリンピックなら4年に一度、365日×4の日数の中で、そのうちのたった1日の、その瞬間に『勝つ為』だけに4年間血の汗を流し、想像を絶するようなトレーニングをこなし、それに耐えるだけの精神力を身につけ、その中でもずば抜けた力と調整力・集中力を持った者だけが、頂点を極める訳であります。気の遠くなるような、過酷な日々でありましょう。
その〝極めつけの熱い戦い〟を皆様、暑い暑い〝晩夏の涼〟としてお楽しみ下さい。