「減酸にそんなに意味がある時代だろうか???」のおまけ | さかたのみかん

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みかん農家として独立したので、タイトルを変えました。
家業は相変わらず、肥料屋です。

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七夕の7月7日に書いた「減酸にそんなに意味がある時代だろうか???」の記事に対してmixiでいただいたコメントを紹介したいと思います。

ご本人の了解はいただいていますし、私が変に編集して主旨を外していけないので、主旨に関係ない部分を編集しますが、その他は原文のまま掲載します。

ちなみに、mixiで知り合い、彼とはまだお会いしたことがないのですが、出身高校も学部は違えど大学も全く同じであり、畑は違えど、同じ柑橘を専門とする者として非常に心強い後輩です。

(引用初め)◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇

あ・・・専門外ですが、
授業で習うので一言だけ・・・

クエン酸回路・・・
呼吸系の代謝経路で生物取った人は、
高校でもⅡあたりで習うと思います

アセチルCoA→ずんどこ一周輪みたいな経路通って、
最終的にADP→ATPと、
糖・脂質やら酸素使ってエネルギーを生み出す代謝ですね

ところで、本題ですが、
代謝にモリブデンが重要なのは確かですが、
問題はカンキツのクエン酸を減酸させるのに・・・
というのは個人的にどうかと思います。

ここからは僕の考えなので知識不足、
至らないところがあると思いますが、
参考まで。


クエン酸回路は回路内の代謝ですので、
回路内で発生したクエン酸は基質として利用されるでしょうが、
あくまで、解糖などでできたアセチルCoAから流れたクエン酸で、
果実内の貯蓄したクエン酸はまた別だと思います。

むしろ、クエン酸回路で使わないので、
果実に蓄積してるのだと思いますし。

また、経路というのは基質が増えても、
次の物質にいくための酵素が足りなければ意味ないですしね。

確かに、最近はダイエットなどで、
ミネラルやクエン酸で代謝活性など歌われていますが、
主要酸がクエン酸であるカンキツにとって、
「減酸にはクエン酸回路回せばいいんやろ?」
はネットでちゃらっと調べたど素人発言にしか聞こえませんね。

サカターンさんの言うように、
微量要素はあくまで微量で結構であり、
また生命活動の活性化くらいの用途だと思います。

考えてみれば、
もし、モリブデンによって仮にクエン酸が活用されるとすれば、
どちらかというと栄養成長が過度に活性化しそうですけど・・・

最後に、高糖・高酸(高酸はいい過ぎかな・・・)で
コクのあるミカンが良いですね

変に味がぼけたナッシング酸果実くらいなら、
ぼちぼちすっぱいミカンの方がいいです☆

(引用終わり)◆◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ご本人も書かれているように、専門外のことのために、これは本人の個人的な見解であり、足らない部分があるかもしれないということをご了承ください。

それでも、私が「な~んか違うんやけど・・・」くらいのことを私よりも学問的に説明していただいたことは事実ですし、mixiという閉鎖された空間でのコメントであったために、ブログで紹介する運びとなりまいした。

実は、私も働きだした12年前くらいは、「減酸にはクエン酸回路回せばいいんやろ?」的な発言をしていました。

それもこれも、先輩からそんな風に教わったからですが(→o←)ゞ

しかし、お客さんの中に農学部出身者や参加しているMLでも試験場出身者の方々との交流を通じて、減酸が如何に難しいシステムで働いているか、それを理解できたところで現場に生かすことが如何に難しいかがわかりました。

以前、興津試験場に電話してこの減酸のことを尋ねたのですが、その時に返ってきた返事は「水をやること」、「温度を上げること」(もうひとつくらいあったかな・・・)でした。

この「温度を上げる」ということは呼吸を促進するということでしょうが、少し拡大解釈すれば、代謝を促すことかなと思いました。

そのためには、三要素や微量要素ではなく、現在のところはアミノ酸や酵素なのかとも。

これはもしかしたら間違えているのかもしれません。

しかし、そのくらい現場ではわからないことだらけの自然の中で試行錯誤しながらも、ある一つの方向を見出して進まなければ一歩も前に進まないということは事実です。

はっきりとした答えが出ないことを懸命に議論することは、一見無駄のようですし、それがその年のみかんの出来を左右するわけではありませんが、これがただ惰性で「成ったみかん」にするのか、「作ったみかん」にするのかの大きな違いです。

「ペットは飼い主に似る」という言葉がありますが、「作物は栽培者に似る」と私は思っています。

その裏付けの一つじゃないかと思います。