21年度産みかんを考える | さかたのみかん

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みかん農家として独立したので、タイトルを変えました。
家業は相変わらず、肥料屋です。

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さて、暖かい日も続き、桜の花が異常に早かったのと同じように、みかんの花と芽もかなり早い段階で見えてきています。

営業中にいろんな所のみかんの木を見ていますが、どれもこれもが、いわゆる「べた花」です。

「春芽なんて一体どこに出てるの?」という具合です。

これはもう、来年も心配ですが、今年は一体どうなるのか・・・・・

まず、かなりの生理落花(落果)が想定できますね。

そりゃ、今年は落果してくれて良い年ですが、残った花がどれだけのものかを心配しています。

残った花もかなり弱い物が残るのではないでしょうか。

そうなると、本当に小玉ばかりになってしまい、最終的な収穫量(トン数)の激減が予想できるようと思います。



和歌山の商店さんと話をしていると、葉面散布の動きが鈍いと言われていました。

理由は「葉面散布をして、花に栄養をやると、必要以上にとまってしまって、摘果が大変になる。今年は落ちたほうが良いから」ということでした。

言われた農家さんの気持ちはわからなくもないですが、逆に聞きたいくらいです。

「じゃ、あなたは完全に着果をコントロールできるんですか?」と。

本当にそんなことができるのなら、そんな方は名人ではなく、神様です。

生理落果終了時までにどれだけの回数の葉面散布を行うのかわかりませんが、そんなに簡単に言うほど、花がとまるような資材と能力があるのなら、見せてもらいたいものです。

花をとめるためにかなりの回数の散布をする方でも、そんなことは口にしませんよ。



みかんは花だけが咲けば良いというものではありません。

同時に春芽も発生しなければ、来年が不作になることが今の段階で決まっています。

花も芽も出るような木は栄養バランスが良いものでないといけません。

花だけに気をとられてはいけません。

裏年に花をとめるために散布するのならば、表年だって芽が出るように散布しなければいけません。



更に更に、今年は並においしいみかんでは安価なのが決まっています。

ある話によると、「九州は500円/10kg、有田は700円/10kg」という話がすでに市場関係者の間で出ているそうです。

これが本当だとするならば、まだ今年のみかんを見る前からそんな話が出るなんて、ふざけた話だと思いますが、一農家あたりの全部のみかんの平均はこの価格よりも低いのではないかとも想像しています。

それだけ量が多すぎる年でしょうから、並にうまいみかんでは駄目です。

かと言って、抜群にうまいみかんじゃなくても良いんです。

「並よりもちょっとうまいみかんを毎年獲る」

これで良いんです。

そんなみかんを毎年作るためにも、葉面散布は必須です。



去年のみかんは「量が少ないのに、安い」ということが顕著に出た年でした。

つまりは、「うまいみかんじゃないと売れない」んです。

これはすでに起こっていたことですが、去年が顕著でした。

ならば、今年は尚のことです。

諦める必要はありません。

年末に笑えるように、これから約一年がんばりましょう。