昨日の続き | さかたのみかん

さかたのみかん

みかん農家として独立したので、タイトルを変えました。
家業は相変わらず、肥料屋です。

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今回はあまり知られていないと思われる輸入糞尿について書こうと思います。
(もちろん日本肥料新聞からです)

昨日も書いたとおり、農水省はエコファーマーやリサイクル社会への貢献などにより「化学肥料や農薬の多投入や不適切な使用をやめ、家畜排泄物などを堆肥化して施用する」ことを推奨しています。
実際に県によっては具体的な化学肥料の削減目標を掲げているところも少なくないそうです。
それは化学肥料を減らした分を堆肥で補充すると言うことのようです。
更に農水省はこの化学肥料の削減をかなり急いでいるようです。

しかしその家畜排泄物の処理方法にはちょっと疑問があるようです。

家畜排泄物といっても輸入されている物と国内で発生する物の2つがあります。

1年間に輸入される家畜用の飼料は1900万TDNトンです。
これは極論を言えば糞尿を輸入している状況ともいえます。

次に国内で発生する家畜排泄物は約9000万トン。
その内訳は次のように処理されます。

堆肥などの利用:7500万トン
浄化やメタン醗酵:600万トン
野積みや素掘り:900万トン   (03年のデータ)

最後の900万トンは今年の4月から野積みが禁止になり堆肥などの再利用が義務化されました。
これによりただでさえ過剰となっている畜産由来廃棄物堆肥に、この900万トンが上乗せされるのです。
農水省が焦る理由はここにあるようです。

では堆肥として畑に撒くだけで解消できるのでしょうか?
窒素循環データによると家畜部門の窒素量は75万トンとなっています。
その75万トンは94%が再利用されている事になっています。仮にこの窒素を農地に均等に撒いたとすると1ha当たり約150kgにもなります。
ちなみに平均的な水田への窒素肥料の量は年間100kg前後です。

これらはあくまでも計算上の話で、排泄物を堆肥として使おうとすると「窒素の3~5割は空気中に逃げて減る」ということも言われているために行政による揮散窒素量の試算が待たれます。
しかし窒素量だけを見ても畜産由来廃棄物堆肥が国内だけで処理できる量ではないことは明白ではないでしょうか。


畜糞堆肥でやっかいなのは塩類を多く含むための土壌汚染です。
これにより農水省は土壌検査の重要性を訴えていますが、それには塩類濃度つまりEC値がかなり重要に成ってきます。

それは土壌中のEC値だけではなく、堆肥中のEC値も重要です。

ヨーロッパでは畜糞堆肥が環境汚染源として認識されているようです。

これらを解消するには堆肥からリン、カリなどの肥料成分を抽出して肥料業界に売り込むことだと書いてあります。
このノウハウはすでに下水処理関係が持っているそうです。

化学肥料の原料と有機原料が高騰している今、この開発が実用化されることが農水省が進める環境農業規範に合致する施策となるとあります。

とりあえず今日はここまで書いておきます。
私の見解も少し書いているつもりですが、明日また関連記事を書こうと思います。