さかたさんのブログ

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「準備は出来ているか?」


ヘリポートで既に待機していたセイルと、セイルによって選抜されたディラン・ターナー大尉とミシェル・マートン中尉は、レイを見るなり姿勢を正して敬礼した」。


レイは横目で3人を見ると、すぐに視線を前に戻した。


「堅苦しいのはいらん、行くぞ」


レイは、いつでも飛びたてるよう待機しているヘリへと足を進めるが、回転翼の風力に煽られ、足取りはフラフラだ。


3人は「アイ・サー」と、苦笑いで右手を下ろし、レイの後に続く。


乗り込んだヘリのシートにドカリと座ったレイは、無言でセイルに視線を送った。セイルも無言で頷くと、ディランとミシェルに書類を手渡す。


「行動予定だ。頭に叩き込んでおけ。質問はセイルにしろ、日本につき次第行動する」


レイた最小限の言葉で畳むと、慣れた手つきでベルトを締めた。





レイとセイルは幼くして両親を亡くし、その時から兄弟の様に育った間柄だ。


現在、セイルは21歳にして中佐、レイは18歳で大佐の椅子に座っている。階級は違えど、お互い尊敬している。今回の任務にセイル率いるシルバー班を抜擢したのもレイがセイルを信頼しているからだ。


「おまえとあと2人、人員が欲しい。人選は任せる。他は当日援護出来るよう準備させておけ。出発は明朝0500時だ」


レイは言い終わると机上の書類に目を落とした。

「アイ・サー!!」


セイルはビシッと敬礼すると、戦場でもよく通る声で応え、大佐執務室を後にした。


レイはハァっと溜め息をつくと、書類から目を離し、閉まっていく扉を一瞥した。


「声でけえっつの…」





書類には日本人1名の個人情報が記載されていた。


≪ Sino Misaki age,17 ≫


他には現住所やら家族情報やら細かく書かれている。


「Psi リストですか!?シノ ミサキ…」


「あぁ、情報部からPsi確定の知らせが来た」


「情報部から?」


「そうだ。俺も驚いている。今回はそのPsi確定者の保護、護衛、そしてここへ連れて来るのが任務だ」


レイはそう言い放つと、セイルから顔を背け、フウっと鼻で息を吐いた。


「ちょ…ちょっと待って、Psi関連は機密事項で上層部の仕事でしょう。なぜ我らが?」


「今回は俺が任された。バックアップに上層部の飼い犬(部隊)を付けると言われたが断った。おまえ等のが信頼できるしな。昨日はその許可を取るに少々手間取った…」


レイは、ハァと大きく息を吐きながら椅子の背もたれに体を預けた。


「あぁ、だからその“クマ”ですか?」


おおよその事態を把握したセイルは苦笑した。


セイルには大佐の気苦労が容易に想像できる。上層部の連中は頭が固い頑固親父の集まりだ。その中で、まだ二十歳に満たない若者が大佐にまで成り上がり対等に渡り合っていたら、さぞ面白く無いだろう。だが、レイはそれを難なく(目の下にクマを作る程度で)やり遂げてしまうのだ。