1973年、水の都ベニスのお隣Vicenza(ヴィチェンツァ)のThiene(ティエネ)にて創業。当時の社名はNuova Taela社です。

創業者はFrancesco Laverda(フランチェスコ ラヴェルダ)さんです。私の独立のきっかけを作ってくれた恩師です。Laverdaと聞いてバイク好きの方ならご存知だと思いますが、イタリアのバイクメーカーのLaverda家のご出身です。日本で鰻を好んで食べた、希少なイタリア人です。

 

Nuova Taelaを一緒に運営していたGaetano さんのGaeがGay、

Guyとなり、Rover (イタリア読みだとローベル)さんの名前をとりGUY ROVER と名付けられました。

これは中々レアなストーリーです。

私の手元にある一番古いブランドサインです。

 

Pitti Uomoが今の場所で行われる前、Pitti宮殿で行われていた時から出展していたそうです。

わたしが仕事を初めた当初(1990年代後半)はPittiの出展をお休みしていたのですが、Pittiに来るGUY ROVERのエージェントのために夜、レストランが予約されており、Laverdaさんが、カポターボロ(振る舞う人、偉い人が座る席)に座り、食事をふるまうとても粋な方でした。ご本人が来ない時もありましたが、お会計はすべて済ませていました。とても懐かしい粋でスマートなオールドイタリアンスタイルの方でした。ゴッドファーザー的な。

伝説の襟型、モデル58です。長らくワイドカラーの定番を担っていた襟型です。

 

1990年代ミラノに行った時、驚きました。

GUY ROVERは当時の名だたる名店、Albazar,Doriani,Bardelli,Eddy Monetti (アルバザール、ドリアーニ、バルデッリ、エディーモネッティー)など名店のオリジナルのシャツを全て手掛けていました。

 

ミラネーゼ御用達たる所以です。

 

GUY ROVER と同じように当時ミラネーゼのオリジナルのスーツ、ジャケットを手掛けていたのはM.A.C.O.でした。今のCARUSOです。

 

独立してからThieneの工場に一緒にいた時、Laverdaさんが、今からMilanoにスワッチを届けに行くから一緒に行くか?と聞かれ連れてかれたのがAlbazarのLinoさんのところでした。Linoさん、もうその頃はかなりの有名人でした。

 

ちなみにGUY ROVERのCUT AWAY(カッタウェー)は元々Albazar別注モデルでした。おそらく世の中のカッタウェーの元祖ではないでしょうか。この襟型は現在もインラインで展開している息の長いモデルです。モデル41です。襟型の解説は、別の回で書きます。

モデル41です。ネクタイの結び目の足が出るか出ないかの絶妙な角度です。

 

2000年代前半ぐらいの話ですが、Laverdaさんは取引先で、服をよく買っていたようで、サックスブルーのダブルのジャケット(みるからにAlbazar)を着ていたのを覚えています。中でも特にエレガントだったのが、Attoliniのグレーのフレスコのスーツにネイビーのソリッドタイ、靴はたしかChurch‘sのストレートチップのメダリオンでした。その頃イタリア人はまだ、茶の靴一辺倒でした。

 

黒の靴を履いているイタリア人、見たことありませんでした。

 

背中が透けるぐらいの艶々のチャコールグレーのスーツで、サイズを尋ねたら、49とおっしゃってて、最初冗談かと思っていたら本当に49でした。Attoliniぐらいのレベルのスーツになると49があるということを初めて知りました。

とてもエレガントでミラネーゼの着こなしの代表的な方でした。

 

まだまだ書きたいことがたくさんあるので、第2回に続きます。