醸造アルコール

 

 

醸造アルコールとは一体どういうものなのか?

どういった場合に使われるのか・・・

 

・醸造アルコールとは何?

・何故、使われるのか?

 

説明していきたいと思います。

 

4斗樽:神聖ラベル

 

 

醸造アルコールとは

日本酒の副原料として使用が認められたアルコールのことです!

「醸造アルコール」という名前から、

合成アルコールなどの化学製品を思い浮かべる人もいるようですが、それと一緒ではありません!

 

 

醸造アルコールの正体は、

多くの場合トウモロコシやサツマイモなどのデンプン物質やサトウキビの廃糖蜜などの含糖物質を発酵させ、連続式蒸留機で蒸留した高純度アルコールです。加水しアルコール度数を整える前の甲類焼酎という感じです。

 

 

 

醸造アルコールを添加した

「アル添酒」「純米酒」との違い。

 

日本酒の主な原材料は 米と米麹と水

これらを酵母でアルコール発酵させると「醪(もろみ)」と呼ばれる液体になります。

この醪を搾って濾過したものが、日本酒の原酒で さらに火入れや加水などの調整を行い、瓶詰めしたものが商品として出荷されます!

 

 

造アルコール は、

通常80度程度に希釈し、醪を搾る1~2日前に加えられます。

このことを ⇒ アルコール添加 または アル添 といいます。

 

常、醸造アルコール を

添加したものを アルコール添加酒(アル添酒)

添加しないものは 純米酒 と呼んでいます!

 

つまり、純米酒系のお酒以外の日本酒は

すべて アル添酒 に分類されるということになります!

 

 

特定名称酒 のうち アル添酒 はどれか

醸造アルコールを添加した アル添酒 の国内シェアは実に8割以上とも言われています。

一般酒(普通酒)は もちろん 特定名称酒 なかにもたくさん存在します。

 

特定名称酒は、

原料米をどれだけ磨いたかを表す精米歩合などにより、

大吟醸酒・吟醸酒・純米大吟醸酒・特別純米酒・純米吟醸酒・純米酒・特別本醸造酒・本醸造酒の8種類に分類されます。

このうち 純米 とつくものを除く、全ての特定名称酒に 醸造アルコール が使われています!

 

4斗樽:2斗上げ底仕様

 

 

 

それぞれの特徴!

 

 

○ 大吟醸酒

精米歩合50%以下の米を低温でゆっくり発酵

華やかな香りと ほんのり甘くすっきりした味わいが特徴の日本酒。

原料米をたくさん磨いているため雑味が少なくキレイな酒質に仕上がる傾向があります。

鑑評会出品酒が多いのもこのタイプ!

 

○ 吟醸酒

精米歩合60%以下の米を吟味して醸造

華やかな香りの日本酒

米の持つ味わいやフルーティーさが楽しめます!

 

○ 特別本醸造酒

精米歩合60%以下 もしくは 長期低温発酵 や 木桶搾り など 特別な製造方法 で造られました

同等の精米歩合の米で造られる吟醸酒に比べて香りは控えめです

スッキリとキレのよい飲み口 こだわりの製法が人気!

 

○ 本醸造酒

精米歩合70%以下の米を主原料

軽やかでキレのよい日本酒

スッキリとした辛口な味わいが人気!

 

酒税法によると 醸造アルコール 使用量は、

ほかの副原料を含む総量が米麹を含む米の重量の50%を超えない範囲に制限されていますが、特定名称酒に関しては、米の重量の10%以下と定められています!  ← ココ覚えておきたいポイントです!

 

○ 普通酒のアル添酒 は2種類!

普通酒は、特定名称酒よりも 醸造アルコール の比率を高くすることができます。

具体的に、醸造アルコール が米の重量の11%以上~50%以下のものは普通酒に分類。

普通酒の アル添酒 には、糖類・酸味料などを使用して味を整える 増醸酒 の2種類が存在します。

通常は 普通アル添酒 には原料米1㌧に対して280㍑まで、増醸酒 には原料米の半分の重量まで 醸造アルコール が使用されています。なお これらの分類は過去の酒税法に基づくもので 今もこの規定に従って造られています!

 

○ 醸造アルコール を使うのは何故?

醸造アルコールで腐敗を防ぐ

日本酒造りで怖いのは 醪の腐敗 です!

江戸時代 火落ち菌などの雑菌の混入による腐敗も防ぐためにアルコールを添加し 度数を高め酒質の安定が目指されていました。しかし、ほとんどの雑菌は高アルコール下で死滅するものの、火落ち菌にはアルコール耐性があるため、アルコール添加だけで防ぐのは不十分であったといえます。

 

品質管理技術が向上した近年 火入れの温度管理や道具の洗浄・殺菌・蔵人に衛生管理を徹底させることで、火落ち菌などを防いでいます。そのため 近年は腐敗防止を主目的として 醸造アルコール を添加することは少なくなっています!

 

○ 醸造アルコール で華やかな香り

醸造アルコールを醪に添加することで華やかな香りの日本酒に仕上がるといわれています!

日本酒の香りの成分は水よりもアルコールに溶けやすいため、米と米麹と水だけで造られる純米酒よりも 醸造アルコール が添加された アル添酒 のほうが香りを感じやすくなるようです。香りも重要なチェックポイントとされる 鑑評会用 の日本酒に アル添していない 純米大吟醸酒 ではなく 醸造アルコール が添加された大吟醸酒が多いのはこのためです。

 

○ 醸造アルコール は味を軽やかに

醸造アルコールは アルコール度数約95度の純度の高い蒸留酒!

連続式蒸留機で繰り返し蒸留される過程で不純物のほとんどが取り除かれているため、味や匂いはほとんどありません。このほぼ無味無臭の 醸造アルコール を添加することで、日本酒の味わいにキレが出てスッキリとした軽やかな飲み口になると言われています!

醸造アルコール は蒸留したての高アルコールのまま添加される訳ではなく、水を加えて30度前後に度数調整してから使用されるのが一般的となります!

 

○ 醸造アルコール でコストを抑え質を高める

日本酒造りで醸造アルコールなどを加える場合は、米の重量の半分以下にしなければなりません。

各蔵では これを上限に飲み手が入手しやすい価格と品質、味わいを追求した酒造りが行われています。

なかには 上限まで醸造アルコールを加えれば日本酒の量を最大2倍にまで増量できることから、コストダウンを目的に使用されるケースもあるようです。しかし、競争が激化する日本酒業界において、安かろう悪かろう の商品が淘汰されていくことは疑う余地もありません。高価なお酒は例外として、多くの場合 蔵元が優先すべきは コストと品質 そして、味わいとのバランスです。醸造アルコール は、なるべくリーズナブルな価格で美味しさを実現するための役割も担っています。

 

 

○ 醸造アルコール を添加した日本酒は低級品か?

・アルコール添加の歴史は古い

醸造アルコールを添加した日本酒造りの歴史は、江戸時代にまでさかのぼります。

当時の醸造アルコールは、乙類焼酎のようなもので それらを添加する方法を 柱焼酎(はしたしょうちゅう)と呼んでいました。

 柱焼酎は、醪の腐敗を防ぐためにアルコール度数の高い焼酎を加えるというもので、アルコール添加の先駆け として知られています。江戸時代には、アルコール度数の高い粕取り焼酎や米焼酎などを醪に加えたり搾りたての酒に混ぜたりすることで、雑菌の繁殖を防いでいたのです。結果的に 柱焼酎 により日本酒の香りがよくなり、味わいが軽やかで後口もスッキリする効果が認められたことから、衛生管理や品質管理の方法が確立した現代にも、醸造アルコール を用いた酒造りが受け継がれているのです。

 

・悪いイメージは、戦後の 三倍増醸酒 から

普通酒の一種である 増醸酒 は、今でこそ原料米の半分の重量にまで 醸造アルコール の使用量が制限されていますが、米不足が深刻化した終戦後には3倍にまで水増しされた 三倍増醸酒 (通称 三増酒)が流通していました!

 

三増酒 とは、

醸造アルコールを加えて薄くなった味を糖類や調味料、グルタミン酸などを加えて補ったもの。

この低給品が一時主流となったため、アル添酒 に対するネガティブなイメージが定着してしまいました!

平成18年(2006年)の酒造法改正で 三増酒 が清酒の品目から外れた今も 増醸酒といえば三増酒 という印象が色濃く残っていますが、アル添酒=三増酒 はまったくの別物です!

日本国内で流通する日本酒の約9割が アル添酒 という現状から考えても、醸造アルコール を添加した日本酒のほうが一般的には広く飲まれているお酒になっています。

 

・悪酔いする?

醸造アルコールが入った日本酒を飲むと悪酔いする という説もあるようですが、これは正しい情報ではありません!

醸造アルコール自体は不純物を取り除いた高純度の蒸溜酒で混ざりものはほぼありません。醪に添加する際には30度前後に水で薄めて使用されるので、日本酒のアルコール度数を大きく高めるものでもありません。では何故、悪酔いしたと感じる人がいるかというと、ほとんどの場合はアルコールを分解する速度が飲むペースに追い付いていないことが原因と考えられます。

 

純米酒 に比べて アル添酒 にはすっきりとしていて、飲みやすいものが多いため、つい飲み過ぎてしまいがち。料理やつまみと一緒にゆっくりしたペースで飲むように心がけたいものです。

 

 

純米酒 の混じり気のない美味しさ、その素晴らしさは疑いようがありません!

一方の 醸造アルコール は、昨今の日本酒とは切っても切れない副原料です。純米酒 の良さを尊重したうえで蔵元の工夫によって造られた アル添酒 を正しく理解して楽しむ選択肢もありだと思います!

 

 

4斗樽:珍しい下駄畑付仕様!

 

 

 

談:

もっと簡単に説明するつもりでしたが・・・

ついつい、長くなってしまいました。

日本酒に使われる 醸造アルコール 

副原料としてのその役割おぼえておきたいところです。

 

 

・・・乾杯!