$逆田蔵人のおはなしブログ
「おい、いつまで寝てんだヨ!」

 布団の上から腹を蹴られた激痛で目が覚めた。
見上げると、大きなもう一人のオレが
氷のような目でオレを見下ろしていた。
 オレはこれからの生活のことを考えると
目の前が真っ暗になった。

 頭にもきたが、自分の2倍もある体躯の
ヤツに立ち向かう度胸もなかった。
仮に反抗したら、コイツがどんな行動に出るかは
知っていた。

 小刻みに震えるオレを見て、
「よかったなァ、ケンタくん。死なないで。
 これからよろしくね」
 大きなもう一人のオレはニヤリと
不気味な笑みを浮かべ、オレの左肩を蹴飛ばした。

「(チーズ、ママが食べたのに)」
大きいもう一人のオレが小さくつぶやいたが、
オレはそれに気がつかなかった。


<終わり>

人気ブログランキングへ

最近のニュースを見て、「親は子どもの身にもなってほしい!」と
思う方はクリックお願いします(笑)
$逆田蔵人のおはなしブログ
「……ンタ、…ケンタ!」

 パッとオレの視界が広がった。
嫁がオレを抱きかかえていた。
「あれ…。ここは…」
「ケンタ!!よかった…!」
嫁は叫ぶとオレを力いっぱい抱きしめた。

「!?」
 オレは目を丸くした。
嫁の後ろにオレ自身が立っていた。
「心配させやがって…」
大きいもう一人のオレが言った。
 オレは自分の体に目をやった。
何か悪い夢を見ているのか、
ついさっきまでの自分の体でないことに気づいた。
オレは嫁の手を振りほどき、鏡の前に立った。
頭から血の気が引くのがはっきりとわかった。
「いったい、どういうことなんだ…」
鏡の前には、アザだらけのケンタの姿があった。
体中にきしむような痛みが走っていた。

「(夢なら早く醒めてくれ!!)」
 夜、オレは布団を頭から被って祈るように眠った。


<つづく>

人気ブログランキングへ

やる気スイッチ、ポチッとお願いします~
$逆田蔵人のおはなしブログ
 気がつくと嫁がオレの体を抑えていた。
足下を見ると、アザだらけの息子が横になっていた。

「ケンタ、ケンタ!…どうしよう、動かない。」
 嫁は息子を揺すりながら言った。
オレはぐったりと頭を垂れた息子を
ただ呆然と見下ろすだけだった。
「息、してないよ…」
嫁の震えた声を聞きながら、
霧の中に入って行くように
オレの意識は無くなっていった。

<つづく>

人気ブログランキングへ

クリックお願いします~