俵屋さんの展開


杖をついて歩行訓練。

ついでに社会見学。

 

京都市中京区の街中にあるのに、宿に一歩入ればそこは静寂が広がります。

穏やかな時を過ごせる俵屋旅館の部屋数は全部で18室。
スティーブジョブズの定宿としても有名で、トムクルーズも宿泊したことがある。

伝統と機能性をうまく融合したセンスのよさ。

すべてが控えめ。それなのに、ひとつひとつが丁寧に考え抜かれている。
絢爛豪華な高級旅館とは一線を画す、本当の意味で心落ち着ける旅館です。

「俵屋旅館」は創業300余年。京都でも最も古いと言われる旅館のひとつ。
公式サイトを持たない宿としても有名。

 

「ウチは、口コミだけでよろしゅうおす」

そんな感じだろうな、きっと。

京都の伝統職人が壁一面に施した「名栗(なぐり)」が印象的です。


番頭さんが、こっそり教えてくれました。

「この名栗の加工だけで家が一軒建ちます」


伝統の技 、名栗る(なぐる)とは木材の表面を大工道具である手斧(ちょうな)を使って削ること。

手斧目削(ちょうなめけずり)という。


角材や板に昔からある大工道具の「突きのみ」や「ちょうな」、「与岐」などを使って、
木に独特の削り痕を残す日本古来からある加工技術。

俵屋旅館11代目当主佐藤年さんは京都生まれ。学習院大学文学部卒。

俵屋旅館専務取締役を経て1965年、俵屋旅館代表取締役就任。 

客の快適さを常に求めて伝統を守りつつ、革新を繰り返してきたからこそ今がある。
11代目を受け継ぐ当代は「宿にはもの作りのように一子相伝の技はない」と言い切る。


女将さんを軸に、その旅館に携わる職人達の仕事振りを書いた本があります。
湯葉や魚の食材業者はもちろん、畳に障子、部屋に飾る骨董品屋まで登場します。

 


驚いたのは「洗い屋」と呼ばれる風呂桶を洗う職人の話。
人の脂でずず黒く汚れる高野槙の風呂を洗い落とす苛性ソーダの量を舌で加減しながら汚れを浮かせるのだそうだ。

石州(島根県)浜田在、呉服問屋「俵屋」の京都出店として宝永年間に創業。
石州藩藩士の定宿となるほど、主人岡崎和助のもてなしが評判となり、次第に宿を本業とするようになった。


そのもてなしぶりは、舟橋聖一の小説「花の生涯」に描かれているそうです。

それは未だ読んでいません。


伊藤博文や犬養毅など、幕末を動かした政治家たちも投宿、今も残されている宿帳に語り継がれている。

江戸時代から明治にかけ、公家や大名の常宿とされてきた。
常に高いサービスを好まれる顧客と接しながら 続いてきた300年間には京の宿の歴史が詰まっています。


Apple創設者故スティーブ・ショブズ自伝の下巻でも、「スティーブ・ジョブズのお気に入りの旅館」として紹介されています。
宿のポリシーを喜び、楽しみ、認めて頂けるお客様が顧客となり、より高いサービスを提供できるようになった。

 

例えば、お布団にも強いこだわりを持つ俵屋旅館。

一枚のお布団に国産の繭を1万個も使っていると、つとに有名。


繭玉に包み込まれているような感覚は他では味わえないと絶賛されています。
以前、ホテル王と呼ばれる方が利用された時、「俵屋にホテルの原型を見た」と唸ったそうです。

 

 

この一画が、1軒だけ除いて、俵屋さんの敷地。

「遊形サロン・ド・テ」

俵屋旅館プロデュースのモダンなサロン。


わらび餅は、「俵屋」が宿泊客を迎える際に出しているもの。

本わらび粉が香る名物のわらび餅は感動モノです。

 

シンプルだからこそ素材の良さがわかる絶品のわらび餅を、モダンで落ち着いた店内で味わえます。
「オーダーを受けてから作るサンドウィッチも人気です」


サンドイッチの卵や生クリーム、牛乳などは厳選し、滋賀・信楽の牧場のものを使用しているそうだ。

 

俵屋旅館のすぐそば。姉小路通麩屋町の一角にそのお店があります。
 町家が建ち並ぶなか、落ち着いた白壁に囲まれた建物が目印。

 

店内はとても洗練されていて、落ち着いた雰囲気。

テーブルやイスは俵屋旅館当主のコレクションでもある北欧のアンティーク家具を置いています。

ほとんどのお客さんが目当てという、わらび餅(2,260円)。

本わらび粉、黒糖、水だけと素材は至ってシンプル。

 

ほどよく柔らかな食感と優しい甘みが特徴。
わらび餅をいただいた後は、お口直しの白湯が提供される嬉しいサービスも。

 

 

たまたま28日、朝の情報番組で放映。休日も休まず営業の貼り紙。

テレビに出たら客が押し寄せる。落ち着いた雰囲気が壊れるのが心配。

 

上質な空間と極上の菓子。

「俵屋旅館」の味をこちらでも。

 

本わらび粉の風味と極上の柔らかさが格別。
明治時代に建てられた町家を改装、土壁の風合いや坪庭の風情を楽しむ。


俵屋すぐ近くにある「ギャラリー遊形」

俵屋で使われている様々なグッズを購入することができる。

「俵屋旅館」の館内のさまざまな道具や小物類などの多くがオリジナルアイテム。


部屋に置いた可愛らしい針箱が、宿泊客に好評だったことから始まったオリジナルアイテムも今や約400点に。
発案からデザイン、試用まで、すべての工程に関わるのが俵屋当主の佐藤 年さんです。

「俵屋」という器にふさわしいものを探してもなかなか見つからず、それなら自分で作ろうと思って作り始めたら、

どんどん増えてきたという。


いずれの品も、佐藤さん自ら、工房や作家と、細やかなやりとりを通じて生まれたもの。
それらの品を購入できるのが、俵屋が手がけるこの「ギャラリー遊形」です。

展示品は、タオル、リネン、ナイティ、寝具、陶器、食品など衣食住の多岐にわたる。
どれもモダンで、かつ伝統ある旅館のセンスが光るもの。


俵屋ブランドのパジャマ、グラス、器、小物、ポプリ、トラベル・ケース、スリッパ、石鹸、タオルが人気です。
私はもっぱら俵屋さんの石鹸。6個入り1404円。自分用に、プレゼント用に使っています。

 

筆入れのケースは年代物、もう買い替える時期が来ています。

ギャラリー遊形は今年、16年目を迎えます。
「ギャラリー遊形」 京都府京都市中京区姉大東町551 営業時間:10:00~19:00


俵屋同様、ホームページというものが存在しません。

口コミだけで充分やっていけるからです。

この姉小路界隈は住民の方自ら制定した、建築協定地区です。

ぼちぼちいこう。20キロメートル/hour。

厳守!とかいった野暮なことは書かない。

ミシュラン1つ星に輝く天ぷら屋「点邑」(てんゆう)さん。
ミシュランガイド最高評価「5レッドパビリオン」

 

「俵屋旅館」が営む天ぷら屋さんです。

天ぷら「点邑」が御幸町から麩屋町に移転。

京都市中京区麩屋町通三条上ル西側。

 

一軒家の建物で、京都ならではの天婦羅を。

京都産食材の楽しみも大きな魅力となっているようだ。

この齢になると天婦羅や串カツは気が乗らない。

10キロ減量のノルマもある。ゴメン。


点邑のランチ。天丼は美味しくてお得です。
そんなレビューを見てもビクともしない。

 

昔は、そりゃあ大好物でした。
今は、全く食べたくないんだから仕方がない。


したがって、この店には行ったことがありません。
詳細を語れないもどかしさがありますけど。


「俵屋」プロデュースの天ぷら屋さんだったら不味い訳がない。
内装もビシッと決まっている筈。


天婦羅好きの皆さんは是非!

直木賞作家、村松友視(小説・文学)さんの本「俵屋の不思議」を読んで久しい。

世界に名だたる京都の老舗旅館「俵屋」を舞台に、一徹に貫かれる女主人と職人たちの志。

 

京都だからこそ生きる技と感性とはなにか。

「俵屋」の舞台裏.を描いた作品は多くの人を魅了した。

 

また、俵屋の不思議を読んだ。

旅館を真に据えた「真・副・対」が見事に展開されている。

 

宿で提供している食の店。

宿で使っているモノの店。

 

いずれも、宿から至近の場所にある。

いずれも、お客さんの要望で出来た。

 

流石、俵屋だから為せる技。

お見事、と拍手喝采を贈っています。

 

 

 

下肢の痺れとの闘い。

癌患者修業中。