ゼスト御池地下街の名所になる予感

 

それは、忘れもしません。

1月15日のことです。
 
当たり前です。
5日前のことですから。
 
ご丁寧な病気見舞いを下さった方にお礼状を書く為、
鳩居堂さんに上質の便箋と封筒を買いに行きました。

 

 

流石の品揃え。

ズバリ、探していたものがありました。

勘定を済ませ、余裕で、店内を一周。

 

 

この額は、確か、頼 山陽さんの書かれたものですよね。

頼 山陽は江戸時代後期の歴史家、思想家、漢詩人で文人。

右から「筆、硯、紙、墨、極めて優れている」、と鳩居堂に宛て書いた。

月刊誌の連載で社長にインタビューした時、そう聞きました。

 

癌患者独居老人の私はいつもは車椅子生活。

住んでいるマンションの部屋をバリアフリー対応に。

懸命のリハビリを続けています。

最近になって体の調子がいい時は極力、杖をついて歩くようにしています。

 

今日は比較的、体の状態はいい。

寒いけど、穏やかないい天気。

エレベーターに乗って、久し振りにゼスト御池地下街に。

ふたば書房を覗いてから帰途につく。

 

ぶらぶら、よちよち歩いていたら、何ですか、これは。

立派な胡蝶蘭が店頭にいっぱい飾ってある。

 

慌てて看板を探す。

「京の酒処1038」

お酒屋さんですかい?

 

それにしては奇抜な名前。

喧々諤々の議論のすえ、思い切って命名したものなのか。

だとしたら、その勇気に、日本酒で乾杯!

 

ひょっとしたら、あまり深く考えずに、ひょいと付けた名前かも知れん。

いずれにせよ、このまま知らんぷり、素通りするわけにはいかない。

 

なんでやねん。えらい律儀なお人や。

 

 

これは、正面からの外観。

この店構えなら、ゼスト御池地下街の社長さんも大歓迎だろう。

立派なお花を贈っておられる。

 

 

こちらは、店舗東側からの外観。

立ち飲み居酒屋のイメージを一新、相当な数の取材が来るのは必至。

 

業界誌紙をはじめ、地域のタウン情報誌は必ず取材に来ますね。

それを見て地元新聞、ラジオ、テレビの取材が入ります。

 

地下商店街の課題は、話題の店に入ってもらい、空き店舗を作らないこと。

ゼストとしても来客数増は誠に有難い。

 

さて、そこからの話。

相当のお客さんが行列をつくった時の対応です。

 

どちらに並んで待ってもらうか。

どちらのお店にも迷惑をかけたらいけない。

となると、お行儀よく通路の真ん中で列を作ってもらうしかない。

 

そうなったらいいですよね。

今は、謙遜して、鷹揚に構えてらっしゃるかも知れない。

マスコミのチカラを侮ってはいけませんよ。

 

口コミも相当な威力を発揮しています。

特に、外国人観光客にSNSで拡散された時。

 

どのお店でも悩んでおられるのは一部の外国の方の行儀の悪いこと。

両隣のお店に迷惑かけるといつも嘆いておられます。

 

テレビの情報番組が取材に来て放映されるとお客さんが殺到します。

 

私は杖なしでは歩けませんが。

転ばぬ先の杖。もし、そうなったらどうするか、事前の対策がいる。

 

 

アサヒビールさんから、こじゃれた花が贈られている。

これを見たキリンビール高知支店は言うでしょうね。

たっすいがはイカン。

 

またいらんことを言いなさる。

それに、意味もよう分からん。

業界に精通した人にはウケる小ネタをちょっと入れてみたりして。

 

京都の人なら誰しもが知る会社から、幾つものお祝いの花が届いています。

これは、寺町二条郵便局の局長さんではないですか。

地元密着が伺われて誠に好ましい光景。

 

 

酒の神様「三輪明神」さんの杉玉と表示してある。

この時点で、参拝してから帰ることにほぼ決定!

 

 

日本酒3種のみくらべ、という手描きの看板も。

これは、かなり、そそられる。

 

昨年、5カ月間の入院中は勿論、

退院後の自宅療養中も飲んでいない。

 

ここは正直に言わないと、三輪明神さんに失礼になる。

元旦に、私が癌治療中を知らない友人から贈ってもらった御神酒、

それは、飲みました。飲み干しました。

 

日本酒3種のみくらべ、500円からですって。

そそられるやないの。かなんなぁ。

 

これは、素通りするわけにはイカン。

入店が決定。

選手の入団が決定みたいな。

 

店内に入ると、よく知ってる蔵の酒もある。

酒に向かってご挨拶。

大変、ご無沙汰、失礼しております。

 

京都の地酒が勢揃い。

お見事!

全部飲みたい。

 

酒が、ひな壇に飾ってあるお雛様みたいに見えてきた。

いかんがな。飲む前に、少し酔ってきたみたい。

 

 

京の甘酒、梅サイダーもある。

もし、病院の医師や看護師さんに見られたとしても非常に具合がいい。

 

甘酒を一杯だけ頂いていました。見つかりましたか。

さらっと、そう言うつもり。

 

そこら辺も全く心配ない。

初期設定完了!

 

 

豚モツ、牛すじこんにゃく、缶の焼鳥など肴のメニューも豊富に揃えている。

 

地球にやさしい企業なんて広告を、正月3ヶ日の新聞で見た。

地球は謂わば、地域の集合体ですよ。

例えば、「京都市にやさしい企業」、なんてことを言うと皆んなに笑われますわね。

全然、解ってないよなぁなんて、独り言を言いながら全国紙3紙を読み比べした。

 

なんと言っても、「お客さんの財布にやさしい」、これが一番。

この、京の酒処1038さん、そこら辺のところをよく解ってらっしゃる。

 

 

店長に抜擢されたのは入社15年目、府下、亀岡市出身の西田彩枯さん。

無類の酒好きというのが決め手だったようだ。

 

彩枯はあやこと読む。

子を、市役所が受付の時、枯と打ち間違えたのではなかろうか。

そんな事を言ったら、一生懸命考えて命名してもらったご両親に失礼になる。

ご両親には絶対に言わんといて。

冗談ですから。

 

 

テーブルはウイスキーの仕込み樽。

1973モノと書いてあるところがオシャレ。

 

サントリーの山崎蒸溜所から分けて貰いました。

辻さんがさらっと言う。

 

そう簡単に買えるものではない。

それが、老舗のお酒屋さんたる所以。

お店のことは、写真を添えて後述します。

 

 

昨日、1月14日が開店日。

昨日オープンにして、このオープンな雰囲気。

私は思わず、常連客みたいに寛ぎましたぜ。

 

右がお茶目な、お酒博士、辻崇純さん。

甲子園の常連校、広島の崇徳高校の崇を当てて、たかずみと読む。

 

左の爽やかな青年は和真君。神戸出身の同志社大学2回生。

昨年4月から8月まで、交換留学生として早稲田大学で学んだ。

旅好きの両親の影響もあって日本全国、海外にも頻繁に足を運んだという。

 

それにしても、この名札はどうかしないと。

100円均一、そこのセリアでとりあえず買ってきました。

そんな感じ。

 

車を買う時でも、案外、リテールに拘るものです。

コレってオシャレ!と言って貰えるものを探す、なかったら作るしかない。

 

 

男は背中で語る。

そんなことを、高倉健さん関連の本で読んだことがある。

 

2人にお願いして背中を撮らせて貰った。

オシャレやないの。

メガネを忘れて来たら、危うくQRコードと見間違うところでしたぜ。

 

 

この女性が、お酒大好きのスターティングメンバー。群馬県沼田市出身の千明南緒さん。

ちぎらみおと読む。

 

おばあちゃんがいるので3カ月前、京都にやって来ました。

私、日本酒が好きなんです。

 

いいですねぇ。若いのに感心、立派なもんだ。

ちなみに、どんなお酒があなたのお薦めですか。

 

私、出羽桜が好きなんです。

 

出羽桜ですか。渋いところを言いますねぇ。

山形県は天童市、創業1892年の老舗、出羽桜酒造さんの逸品です。

 

全国新酒鑑評会12年連続金賞、世界一の称号「チャンピオンサケ」を受賞。

国内外で高い評価をされている山形を代表する酒をあげるなんて只者ではない。

 

京の酒処と謳っているお店ですから、京都のお気に入りを探してね。

ハイッ!

 

初々しいったらありゃしない。

相当飲みますぜ、この子は。

在庫と帳簿が合わなかった時は多分、この千明さんが消費してますね。

 

 

なにを隠そう。

隠す理由は全く有りませんけど。

 

昭和7年創業といいますから西暦1932年。

今年、87年目を迎える酒類食料品の老舗、株式会社富屋さん。

社長の香山雅且さんは、ダンディーで、2枚目の、3代目。

昭和33年、西暦で1958年生まれ、御年61歳。

 

富屋さんの新展開が、この姉妹店「酒処1038」

開店のお祝いに連日、取引先がみえるものだから社長も、その都度、お店に顔を出しておられる。

 

店の2階事務所に上がる階段が、ナッシュビルに行った時に入ったジャズバーみたいにオシャレ。

この2階はいつか会員制の隠れたBarになるのでは。私は秘かにそう思っています。

 

 

「京の酒処1038」の経営母体は株式会社1038。

その会社の代表取締役社長は香山友紀さん。

 

クラスに1人はいたマドンナ。

私なんぞはとても近寄り難い存在。

それが、第一印象。

 

第二印象は、わりと気さくな人やん。

何処の誰か分からない奴のブログに、実にあっさり掲載許可を出してくれはった。

 

さっきから気になっている店名のことですけど、何故この屋号に?

富屋ですから1038です。

 

すみません。愚問でした。

暗証番号みたいなものでした。

 

 

こちら、東側にも入口がある。

勿論、出口でもある。

 

1038号室に入って行く感じがしなくはない。

私は、そんな感じ、嫌いではない。

 

毎日、お昼に、健康にいいからと甘酒1杯飲みに来る癌患者さんもいますよ。

歩く目的があると辛いリハビリも苦にならないって。

 

そんな常連になる予感がする。

杖をついた癌患者が常連客というのもお店サイドからしたら困った人になるかも。

 

そこら辺は充分配慮します。ご安心下さい。

 

 

開店2日目に訪れたお客さんは果たして、何を飲むか。

迷わず、これにした。

 

舟屋で有名な、伊根の向井酒造は日本海に一番近い酒蔵。

迷うことなく家業を継ぎ、女性杜氏として頑張っている。

エールを送るつもりで伊根満開を頼んだ。

 

酒の肴も、やっぱ日本海でいきますか。

京都に海があることを知らない人が多い。

安芸の宮島、宮城陸前の松島と並び称される日本三景の1つ、宮津市の天橋立がある。

 

天橋立といえば、竹中缶詰さんのオイルサーディン。

竹中さんは、わざと、缶詰に天の橋立と書いてらっしゃる。

 

天橋立観光協会の名称も天橋立。

ですから、正しくは天橋立。

 

ついでに、竹中缶詰さんの楽天通販サイトによれば、

オイルサーディンは値段の高いマイワシ550円と、

安いカタクチイワシ482円がある。

 

価格は当然、変動しますけどコレは昨日の価格。

Amazonとかで売ってる価格とも微妙に違う。

 

イラストに描かれたイワシの側面に斑点があるのが高い方。

だから、このお店のオイルサーディンは少しだけ高い方。

 

今や、マイワシは貴重品。

宮津湾、阿蘇海でなかなか獲れなくなってきた。

なんとラッキーではないか。

 

長い前振りは、それだけ思い入れがあるから。

すみませんね。

 

本題に戻ります。

 

このお二方、誠に相性がいい。

私が勝手に名付けて、その名も「京の日本海セット」

 

久し振り、しみじみ味わうこの酒は、丹後半島巡りの思い出と重なる。

一方のオイルサーディンはといえば、丹後の駅弁を食べる懐かしさ、味わい深い。

 

こんな幸せな時間、滅多ありませんな。

なんや、あんさん、落語家みたいな口調になってきましたぜ。

 

 

開店3日目。

やっぱり戻ってきました。

 

今日は、あの3種飲みくらべ、でんがな。

その組み合わせメニューがコレ。

 

私は一瞬、色盲の検査表かと思いましたぜ。

複合組み合わせ、サイン、コサイン、タンジェント。

 

さっぱり分からん。

西田店長さん、ちょっと来て。

 

 

お酒博士の辻さんが助けてくれた。

 

今日は熱燗ですか?

そうです。

 

確か2016年でしたか、

全国燗酒コンテストで、プレミアム燗酒部門金賞の酒からいきましょう。

ハイッ!

 

招徳 ・花洛 ・ 純米吟醸。

ここも女性杜氏さんでしてね。

 

この辻さん、無茶苦茶、酒に詳しい。

信頼、信用してお任せ。

 

ほんのり甘口。

ややゆるめ、です。

 

たまたまポケットに入っていた高知県は馬路村のキャラクター、

ごっくん坊や、ぼくの村シールを胸のエンブレム代わりにつけてもらった。

 

背中一面のQRコードみたいなロゴに比べて胸が寂しい。

このシールは間違いなく莫大な効果を発揮しますよ。

ぼくの村って貴方の出身は何処の村ですか、とお客さんが必ず聞きます。

 

お客さんは辻さんと話すキッカケが欲しいんですよ。

すかさず「僕の村は馬路村」と答えて下さい。

 

何処ですか、そこ、って聞かれます。

総務省の家計調査から、都道府県別一世帯あたり飲酒費用ランキング。

2016年統計で飲酒費用の全国平均17990円。高知は断トツの 1位38910円。

2位の東京が29080円 。ぶっちぎりで勝ってます。

 

それから先は、お酒博士の辻説法。

京都の地酒の話に持っていって上手く転がして下さい。

 

シールが好評でしたらいくらでもお持ちしますよ。

早速、採用。すぐに付けてくれた、そのノリが嬉しい。

 

 

3種飲みくらべ

次は城陽の特別純米酒でいきましょう。

ハイッ!

 

なんと、素直な、元気な良い子、のお返事でしょう。

自衛隊の食堂なみの、早くて、元気のいい返事。自分でも感心する。

 

ちょっと熱めです。

辛口で、しっかりした酒です。

 

なるほどね。

俺も、しっかりせんといかんわなぁ。

 

酒の肴は缶つまの、めいっぱい焼鳥。

 

 

3つ目は、北川本家(トミオー)の乾風(あなぜ)純米酒です。

ハイッ!

 

やや熱でいきましょう。

スッキリ、辛口。

ここは、但馬杜氏さんです。

 

3種の酒は、この北山杉で作ってもらった台にちょこんとお行儀よくお座り。

郷土愛がそこかしこに垣間見える。

 

 

お勘定はあらまし今日はコレくらいで、という金額を桝に入れてもらう。

下の写真の一番右に置いてありますでしょ。

それです。

 

お釣りもその桝の中に返してくれます。

桝をひっくり返して小銭を取り出さないと、桝の角に隠れている時があります。

 

なんと、親切丁寧な解説を有難うございます。

いえいえ。どういたしまして。

 

 

「京の酒処1038」はゼスト御池地下街、この案内の13の区画です。

ちょっと見ずらいです。表示板をそのままあげています。

すみませんね。

無印良品さんの真ん前ですから直ぐ分かります。

 

すみません。店頭販売のスペース以外、お店の大きさを教えて下さい。

 

はい。カウンター席は10人くらい、樽席は4人×2、。ということは18人も入れば満席という店です。

カウンター席は、ダークダックスみたいに、ちょいと斜めに並んでもらうと助かります。

ご協力の程、よろしくお願いします。

 


 

皆さん、長い時間、お付き合いいただき、誠に有難うございます。

 

そろそろ締めのご挨拶をさせていただきます。

 

鳩居堂さんからの帰り道、ふと目にした看板に釣られた私が、今、つらつら思いますに。

 

先述した通り、

江戸末期の学者、頼山陽は、鳩居堂さんに筆、硯、紙、墨、極めて良し、とこの額を贈りました。

 

 

平成も残すところ4ケ月余り。

平成末期の独居老人癌患者の私が、京の酒処1038さんに贈る言葉。

 

酒、肴、樽、人、極めて良し。

これを頼山陽に倣って、右から順番に書にしたためて贈りたく存じます。

 

最後になりましたが、

桝々のご発展をお祈りしてい桝。