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ホテルのシングルの部屋
大量の資料とビデオカメラ
…
数日、櫻井さんが泊まっているからか?
櫻井さんの香がする
ベッドには
シャワーを浴びて慌てて出かけたのか
少し湿ったバスタオルが
丸まっていた
…
下着やズボンも…脱いでそのまま
お片付けが苦手なのか?
おんぶしたまま椅子に片付けて
「櫻井さん…大丈夫ですか」
「はい。
…すみません
私は酔ってます…はい
…
酔ってないと言う
酔っ払いは信用できませんよ…
ありがとうございます」
なんか
沢山話してるけど…
直ぐ寝てしまうな
大丈夫なのか?
服…パジャマに着替えさせなきゃ
疲れが取れないよな
片付けたベッドにそっと降ろす
「櫻井さん…お水
飲みませんか」
ペットボトルの水を渡すけど
手から落としてしまうな
…
参ったな
寝たままじゃむせちゃうよ
もう一度上半身を抱き起こすか
「櫻井さん…
水…飲みましょう」
「ん…はい」
あったけぇな…身体
とりあえず服脱がして
これ着せたらいいか
床に落ちてたホテルの室内着を拾う
…
床に散乱した資料は
松島基地の周りの3.11の震災の被害状況や
空自のこと…
櫻井が色々調べているのがわかる
…
「大変だな…
自分は空自の事しか知らないもんな」
パジャマを着替えさせ
資料を拾い
デスクに置いておく
ズボンのポケットから落ちた
スマホの待ち受けがひかる…
ブルーインパルス?
自分の三番機
…なんか嬉しいな
「それじゃ
帰りますね
おやすみなさい」
「おやすみ…なさい
すみません」
ふふっ
明日覚えているかな…
…また…飲めるといいな
まだ街灯の灯りの中
軽くランニングして帰る
自分のアパートは殺風景…
だいたい2.3年で転勤になる自分には
荷物ほとんどない
ノートパソコンとスマホ
後は航空学校からのノートだけ
…
シャワーを浴び
ベッドに寝転がる
スマホを見ながら智は
…「あっ」
思わず飛び起き
頭を抱えた
「LINE交換すらしてなかったな…
小学生かよ…
自分は此処にいるのは後2年か
まだ
チャンスあるか
櫻井さんの取材…
まだあると良いけど
東京か
次の配属が東京の近くになる可能性があるかな…」
そのまま
また横になり
「櫻井さんが居れば
ようやく
…乗り越えられる気がする
なんて…」
目を閉じた智
頭の中に
まだ航空学校を出たばかり
慣れない酒に酔い眠ってしまった自分を
責める…
…
そして
周りに女性がいなかった自分は
初恋は男性だったと
安易に話したの自分を後悔している…
全て
甘かった
まだまだ
理解されないんだ…
酒の場の男ばかりの
悪ノリは
エスカレートする
『キスぐらいなんだ
男同志だろ
裸の付き合いだろ…あははは
大野って可愛いな…
あははは』
その上官も
…笑った奴…全て許せなかった…
「冗談でも…許せないだろ」
呟き毛布に包まる
…憎いのに
でも
憧れるのも好きになるのも男…
…はぁ…