氷が溶けた水が
ポタポタ落ちる中
家に帰る
サトシくんは人間サイズになり
私を抱きしめて
「甘かったですね
ショウくんが沢山心配してたのに…
不老不死の力
どうしてそんなに欲しいのかな
どうして
あんな酷い事をしてしまうのですか」
疲れた身体をベッドに沈め
目を閉じて
大きなため息をする
「サトシくんのせいでは無いですよ…
サトシくんは町のみんなを
笑顔にする為に森を解放しただけ
あの方達は
春の喜びも
老いる美しさも
死ぬ儚さも
知らない
命を無駄に生きるゾンビですよ
沢山
湧いてくるところも
ゾンビそのもの」
サトシくんは目を見開いて
「ふふっ
ゾンビ…あはははショウくん
そうです…
それと冬のありがたみもわかってないです
あははは」
腹を抱え笑った
「しかし
銃弾を良くキャッチしましたね」
「ペルルは力持ちです」
力こぶを見せてニコニコ
「そう
あんなに小さくなれて
そして
とんでもなく早かったですよ」
「んふふっ
それはショウくんのおかげだからです
完成です」
腰に手を当てて
胸を張っているけど
「完成…」
「そう完成です」
あの高速移動の中では周りを確認することも
出来なかったから
恐怖も感じなかった
ただ轟音が鳴り響いてたな…
銃弾より早かったんだから
どんな速さだったのか
凄いGを感じたと言うか
とにかく轟音だった
気づけば
サトシくんは小さな身体のまま私を抱え
銃弾も数個抱えていた
ペルルの怪力は半端ないのは
良く知っていたけど
あそこまでとは
思わなかった
…
次の朝
2人で
火事になった
森の入り口の雑貨屋の様子を見にきた
焦げた香りが
昨夜の炎を思い出す
サトシくんは
店の焼け溶けた物を拾い
「…甘かったです
僕が守れるのは森だけ…」
「サトシくん…」
「僕のせいです…」
…サトシくんが空を見ながら
「守るには
この空にならなきゃいけなかったです」