妄想です。




自己満足のBLです。




妄想ですから…アセアセお願い






ホテルを考えてなかった…

しまった空き部屋がない


空いていても

とんでもなくバカ高い

もう何件も問い合わせてる


「それなら

俺らのホテルに泊まるといいんじゃない」


「えっ

いいんですか?」


「この辺

ツールドのせいでホテル空いてないし

値段が上がってんだ


だから

いいよいいよ」


と甘えてしまった



まさか

じゃんけんで

大野さんの部屋になるとは


「じゃ

大ちゃん

櫻井翔くんをよろしく」


と言って部屋に消えた

てっきり

大部屋で雑魚寝だと思ってた

学生です


「あの」


「いいんだよ

おいで、おいで


僕の部屋さ

行く所、行く所


何故かデカくて困ってたんだよ」


「試合でお疲れだし」


「いいのいいの

どうせ使わないベッドがあるから


相葉ちゃん達の部屋だと

床で寝なきゃならないかもよ」



スターの部屋だもんな

と言うか

賞金年俸一億越えの選手なんだもんな


凄いよ

年齢はそんな変わらないのに


と入って驚く

これがホテルの最高の部屋


「どこにでも荷物置いていいよ

寝室は

こっちにもこっちにもあるよ

どっちがいい?」」


「大野さんは?」


「僕は…ね

ソファーでいいんだ…

ピアノは…どこだ


あっ


ピアノだ」


智は部屋のアップライトピアノを開き

音を聞いている


「グランドピアノじゃなくていいんですか?」


だってショパン国際ピアノコンクール

なんて凄いコンテストに

出る人なんだよな


大野さんは


「ピアノはなんでもいいんだ

僕はね

鍵盤があれば大丈夫」


ピアノを軽く触って


ポン


「そっか…きみは久しぶりに

触って貰えたか

調律が…辛かったかな

ワイヤーがキシキシしてるね


ゆっくりならそうね」


と言いながら

ピアノを開けて

軽く触って

自分で調律している…凄っ

そして


「さてと…

翔くんがわかるのは

これかな

猫踏んじゃった」


猫踏んじゃった…ってこんなにゴージャス?


キラキラ星を歌う

でも

キラキラ星はこんなに


…凄いの?


「さてと…

キラキラ星はモーツァルト


これからはショパンとあそぼう

翔くん子犬のワルツ

知ってる?」


「はい」


「良かった…ショパンって

知ってる?」


「はい」


「ショパンが子犬のワルツを作ったのは?」


「知りません」


「ショパンの恋人の子犬がね

クルクルしっぽを追ってたんだって

子猫のワルツもあるよ」



次はとんでもなく

甘く軽やかな音


聞いた事のある曲から


「これは」


「宣伝で聞いた…事あります」


「ふふっ

これ胃薬の宣伝


『太田胃酸いいクスリです。』だね

これもショパン


あとこれは

良く聞くんじゃないかな」


とんでもなく暗く…聞いた事ある

それは…

だけど…

何故か

軽やかな音で美しい曲にかわる

イメージが違う


「これもショパンピアノソナタ第2番

第三楽章」


「これは

トムとジェリーで聞いた

亡くなった人を送る曲」


「そう

葬送行進曲


トムとジェリーはクラッシックを

良く使ってた


そして

これは第1楽章


とても

明るいんだよ


ショパンは若くして

病に倒れたんだけど

亡くなってから発表された


だからショパンが

この曲を弾いた所を聴いた人は

いないんだ

どう捉えてたかは


楽譜が知る

 


そして


現在

グランドピアノ…の中で

世界のピアニストが選ぶブランド

人気No.3の中に2つを占めている


YAMAHA、KAWAI


これは…YAMAHAだね。

柔らかな音

トリルが甘くなる…」


と言うと

タラランと指を動かす


「翔くん

日本がグランドピアノを牽引してるんだよ


凄いよね…


僕の祖父は

若い頃ピアノ職人の見習いだった

でも戦争で…

飛行機を…

作ることになった

爺ちゃんは飛行機のプロペラを作ってた


戦後工場は火事になり

ピアノ職人の夢は砕けたんだ


山に篭った祖父は

炭焼きと椎茸を作って

林業を営み

静かに

亡くなった…


そんな

爺ちゃんが

作ったんだよ自分だけのピアノを


長年かけて一つ一つ


木を選び

何年も乾燥させ…

削って


祖父は僕にピアノを弾きながら

話したのは…


ピアノになるはずだった木が

飛行機になり


帰る燃料も入れず

若い命を乗せた飛行機が

沢山

その命と飛行機は空に消えちゃった

全て

お国の為

家族の為

この国を守る…ため


それを終戦後知って

爺ちゃんは悔やんでた

苦しんでた

自分の作った飛行機が人を殺した


とても美しい木材に

殺人の手助けをさせてしまった


その償いに大好きだったショパンの

この曲を奏でる為

ピアノを作ったと話してた


爺ちゃんのピアノの音は

静か…に

響くんだ…こんな風に」


曲が空気に溶けていくよう

悲しみを飲み込みながら

命を尊ぶ


翔は動けなかった


これが

さっきロードバイクに乗り

勝利を掴んだ人のピアノ