妄想です。







自己満足のBLです。










妄想です。



三人が
よれよれになって
翔の部屋に入ってきた



「さすが
櫻井屋ですね
甘く見てました…」

「客の数が違ったね」

「商品の種類も豊富だから
手伝いしているつもりだけど
手代さん達が
大変だったかもしれないな…」



「しかし
さすが櫻井屋の主人(あるじ)だよな
俺らが
三人で手いっぱいだった仕事
帰ってきたらあっと言う間に
さばいてたな」



翔は智の作った巾着を見せたくて
わざと襟元をはだけさせて
ニコニコしていた

「主人はどこ行ってたんだろうな…
室町通りのところの菓子をお土産に持って帰ってきてたけど…

手代も番頭も付けずに…?」



翔は
「これ…これ」
と終いには顔の前で巾着を降り始めた

三人は
見えていたが気にせずに
櫻井屋主人の話しをしていた…


「あのーー
見えませんか…
この桜の巾着が見えてませんか…」


「翔ちゃん
見えてるよ!」

「凄いだろう!
俺が昼寝している間に
作ったんだよ…中とおもての生地も違うんだよ…
ほらほら!」

「翔さん…
あたり前です。
智は京で1.2を争う職人ですよ…」

「そりゃあ…そうだけど
智くんが
俺の為に作ってくれたんだよ…」

「懐紙入れだって作って貰ってるじゃないですか…
智が

翔さんに甘々なのは知ってますから…」

「そうか…
智は翔に甘々か…」

「えっ…」

後ろに櫻井屋の主人
哲が立っていた

「どれ…刺繍を見せてくれ…」

翔は首から下げたまま
哲に見せる
「外して見せてくれよ…」

「駄目です。
智くんがかけてくれたんですから」

「翔くん
またかけてやるから」

と言って、智は翔から外し
哲に渡す

「お遊びですから…箱枠で作った…」

「桜か…通し柄
綺麗な作品だな…仕立ても手が込んだ仕事だ…」

「ありがとうございます。」

「そうだ…忘れてた
警察の方が話しを聞きにみえたんだが
大丈夫かな…」

「えっ?あの…」

「怖がらなくてもいい…
あの日の話しを聞きにきたんだ

林田の罪の償う機会を与える為にも
きちんと話した方がいい。」

「智くんが嫌な思いをすることがないなら
いいです。」

「それなら
大丈夫だ…心配はいらないよ…ははは」

「私は構いません。」

「なら、部屋に入ってもらうよ」


哲は廊下から制服を着た二人を連れてきた。
「制服似合っているね
着心地はどうかな?」

「はい、とてもいいです。
少佐が櫻井屋の主人に失礼の無いよう
そして
感謝を伝えるよう
言われました。

いつも、ありがとうございます。」

「あはは…緊張しないでくれ
こちらだよ…」

「失礼します。」

警察の二人は緊張しながら
部屋に入ってきた

哲は入り口の横に座り
「友人達が居ても構わないね?
それと翔は昨日まで生死を彷徨ってたし
智も看病で倒れたばかり
無理はさせないでくれ」


「はい、突然お伺いさせていただいたのですから
友人様が居ても構いません。
質問も手短で構いません。」

智は翔に
巾着をつけてあげていた

警察官二人は
丁寧にに挨拶をして

あの日のことを聞いてきた

翔は
林田が智に向かって短刀を出してきたところまで

智は
翔に守られて見えなかったが
ようやく見た時
更に短刀を自分に振り上げてきたから

蹴りを入れたら吹き飛び壁にぶつかって気を失ったことを話した。

警察官は
「ありがとうございます。」
と頭を下げた

ドタドタドタ

シゲさん達が血相を変えて
入ってきた

「どうしたんだ、騒がしいよ
シゲさん…」

「大ちゃんの所に警察が来たって
聞いたので…
あれは林田さんが悪いと伝えようと…」

「大丈夫だよ…
今、シゲさんの所に案内しようと思ってたところ
だったんだよ…」

「工房の方にも
話しを聞かせていただきたいんですけど
いいですか?」
警察官がニコニコしながら聞いてきた


「えっ…あっ、みんなの
話しを聞いてください」


シゲは、二人を連れて工房に戻っていった
哲は、警察にニコリと微笑んで

「少佐に冬の上着も暖かい物を任せてくださいと伝えてくれ」
と伝え
店に戻っていった。

哲は能ある鷹
爪は決して無駄づかいしない
櫻井屋の主人。