妄想です。









自己満足のBLです。








妄想です。


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翔は
尿瓶を試していた…

済ませた後、零しそうになり慌てたが
一人でなんとか出来た

智に早く報告したくて
戸を見つめていた



廊下が騒がしい…
母の医師を呼んでくるという声が聞こえた気がした。


「誰か!何かあったのかい?誰か!
誰か!智くん?何か?
智くん!智!」


身体を動かそうとしても
背中に激痛が走って
動かせない…
廊下からは父の珍しい大きな声まで聞こえた…




「誰か!
誰か!何があったんだ!くそっ

いて、いててて
誰か!智くん!智ー!」


しばらくして父の哲が
思いっきり戸を開けて
真っ青で意識のない智を抱き抱えて入ってきた…
後から
奉公人が智の布団を運んできた


「父さん!智に何が?
智くん…智くん!」
哲は
起き上がろうとする翔を
智を片手で抱えながら抑え

「動かない…智の苦労が水の泡になる」

智を翔の横に寝かせる

翔はなんとか智に触れようとするが
手が届かない…

哲が
「翔…理由はまだわからん
工房の前で奉公人を医師と間違えて…
お前を助けて…と告げ気を失ったそうだ…」


「え?私を…
ようやく…ですが大丈夫だと…?」

「いつもの
智ではなかったらしい…
今、瑠璃さんが馬で医師を迎えに行ったから
すぐに医師に診て貰えるから

安心しろ」


「はい…あの…
布団を…近づけて貰ってもいいでしょうか……
智くんの手を…握って…あげたいんです…」

「あ…あゝ
その方が智も安心するな…」

哲は智の胸元から
阿弥陀如来と過去帳を取り
智の枕元に置いた…

哲は
改めて
翔の布団周りを見て
感心していた…

部屋はお香が焚いてあり
いい香りがする

綺麗に畳まれたあて布、油紙、褌、
軟膏から、濡らした拭き布

こんな短期間で
翔のお世話がしやすいように
そして
殺伐としない部屋になっていた

智の思いの深さが伝わる…
伝わるからこそ
心配になっていた…

翔は智の手を撫でていると
手荒れに気づいた…

綺麗な手だったのに
逆剥けにひび割れ

どれだけ自分の世話を一生懸命していたのか
涙が止まらなかった…


がたがたと廊下を歩く音と共に
瑠璃と医師が入ってきた

翔を見て
「意識が戻ってよかったです。
体調は大丈夫ですか…」

「私は…大丈夫なんです。智くんを
智くんを見てあげてください」


「多分、智さんは
疲労と寝不足だと思いますけど…

ちょっと診察させて貰いますね
その前に水をください。
母上は凄いですね…」

水を一気に飲んでから診察を始めた

智の手や足の爪を見たり
胸ね音を聞いていた

静かな時間が続く


医師は
振り返り

「眠っている状態ですね…
貧血ではないようなので

何か他の原因があるかもしれない…

今は寝てる状態なので
明日までこのまま様子見たいと思うんですけど…」.


「いやです。
明日までなんて待てないです。
智さんに何かあったら……」

瑠璃が医師に詰め寄ってくれたので
翔はただ

首を横に振っていた…

哲は
「先生…

智は疲労で倒れただけではない?
と言ってますか?
他にも何かあると?」



瑠璃と翔は医師の瞳を
見つめていた…