妄想です。






自己満足のBLです。
妄想です。










妄想です。

銭湯

ここは社交場でもある
脱衣場は天井は高く天井絵も素晴らしい…
立派な椅子もあり
湯上りに

世の中の
難しい話しや楽しい話し、悲しい話から
余計なお世話な話しまで

日本手拭い一枚又は褌姿で賑わっている


そう
裸の付き合い…の社交場

智と翔は仕事の後
智に誘われて
智の馴染みの銭湯に来ていた…

智はさっさと作務衣を脱ぎ
褌を外し
日本手拭いと桶を持って
周りの人と雑談しながら
翔を待っていた

翔は…智の裸を見て…
どうしていいのか
わからなくなっていた…

俺?俺どうした…えっーー

籠を漁る振りをして
しゃがんだまま

落ち着いてくれ…俺…たのむ…
褌を外せずにいた…

「翔くん?忘れ物か?
貸してあげるから入ろうか?」

翔は意を決して
日本手ぬぐいと桶を頼りに
立ち上がった


少しだけ
腰を落として…


智は色々な人に話しかけられているが
気にもせずに 軽く挨拶しながら
洗い場に行く

馴染みではない、翔を見た周りは
ヒソヒソと話しをしている


智が
やんわりと声をかけた
「相葉ちゃん
櫻井屋の若旦那の
翔くん

めちゃくちゃ、面白いんだよ
塩辛くて、甘いにぎりめし作ったり
羊羹を粉々にしたり

とにかく奇想天外なんだよ」



「知ってるよ…
久しぶりだな…翔ちゃん」


「まさき
久しぶり…」

「え?なんで?」

「翔ちゃんの遊び相手として
俺、小さい頃 たまに母ちゃんにさ
連れてかれてたの櫻井屋

翔ちゃん、ほら
深窓のお坊ちゃんだからさ」

「まさき…お坊ちゃんは
辞めてくれ…」


「お坊ちゃんじゃん
高等中学校まで出て留学してさっ
帰って来ても

友達の俺に…

挨拶もなし…
噂ならたくさん聞いたけどな…」

「すまん…色々と考えて帰ってきてたんだ…
思い通りにいかなくて
焦って、腹立てて…

周りの人に…
甘えてたんだよ…」

「まっ、いいや
大ちゃん
翔ちゃんのこと頼むよ

短期だけど
真っ直ぐで優しい不器用な奴なんだよ…」

「大丈夫だよ
俺、翔くんのこと好きだからさ」

智は  人としての話しをした
つもりだった…なのに

きき耳をたてていた周りは
前後の話を聞かず

今まで色々な旦那に 声をかけられながらも
邪険にしてきた智
更に無口な口から
「好き」が聞こえたものだから
驚き、翔を見る。


翔は智の顔をまともに見れず
赤い顔で下を向いていた

雅紀に促され
身体を洗う翔

雅紀は、智と翔を見ながら
ニヤニヤしながら

「大ちゃんもだな…」

と誰にも聞こえない声で呟いた…

そんなのは構わず
身体を洗って
湯に入る智


ここは裸の社交場

政治、経済、下世話な話しまで


明日にはきっと

留学帰りの若旦那と
人気の刺繍職人の話が
町を賑わせる
本人たちの心の中なんてお構いなしに…

本人たちの耳に入る事無く…