九州新幹線全線開業と、置き去りにされる「地域の足」と・・・・。(北陸新幹線延伸にあたって・・・) | ニューいかーのSimplog日記

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旧談話室「さかなくん&ブサ雄」

明日(3/14)に北陸新幹線の長野~金沢間が開業します。地元(おそらく一部だと思う)は降って沸いた「新幹線景気」に踊らされていますが、果たして本当にこれでいいのでしょうか?それに関連して、前回の九州新幹線の全線開通のときにこんなことを書いたのでそれを再掲載します。

※以下の記事は前ブログ「さかなくんの談話室」の2011年3月11日のお昼頃(東日本大震災の直前)に書いた『九州新幹線前線開業と、置き去りにされる「地域の足」と・・・・。』の全文です。


明日3/12の土曜日にJR九州新幹線(鹿児島ルート)の博多-新八代間が開業し、これによって新青森-鹿児島中央間が新幹線で繋がります。


この開業によって、停滞気味になっている九州経済の起爆剤になるような報道が今朝からテレビ・新聞等で流れていますが、果たして本当に『地域の起爆剤』になるのでしょうか?


私ははっきり言って、「起爆剤」になるのは一時的な効果でしかなく、将来的には「九州経済の『福岡』への一極集中化(すなわち、『福岡』のミニ東京化)」と、「ストロー効果による『福岡』への人口移動」、「『地域の足』の廃止による地域自体の衰退」を大変危惧しています。


※ストロー効果につきましては此方を参照してください。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E5%8A%B9%E6%9E%9C


九州新幹線が部分開業した際に、JR九州は、並行して走っている鹿児島本線の八代-川内(せんだい・鹿児島県薩摩川内市)間を「肥薩おれんじ鉄道」 として経営を分離たのをはじめ、同じように東北新幹線も盛岡以遠の開業時に盛岡-青森間の経営を地元出資の第3セクター2社に移管させました。


※新幹線開業と同時に経営移管したJR在来線


・既に移管済み   信越本線 軽井沢-篠ノ井 →「しなの鉄道」へ(横川-軽井沢間は廃止)

             東北本線 盛岡-青森 →岩手県側(盛岡-目時間)は「IGRいわて銀河                             鉄道」へ

                            →青森県側(目時-青森間)は「青い森鉄道」へ

            鹿児島本線 八代-川内 →「肥薩おれんじ鉄道」へ


・今後移管予定(※が今回の北陸新幹線と来年の北海道新幹線の開業に伴って既にに移管が決まっている路線。)

   ※信越本線 長野-直江津間→長野県側(豊野-妙高高原)は「しなの鉄道」へ

                      →新潟県側(妙高高原-直江津)は「えちごトキめき鉄道」へ。

             ※北陸本線 直江津-敦賀間(今回は金沢まで)→新潟県側(直江津-市振)は「えちごトキめき鉄道」へ。

                                            →富山県側(市振-倶利伽羅)は「あいの里とやま鉄道」へ。

                                            →石川県側(倶利伽羅-金沢)は「IRいしかわ鉄道」へ。

             ※江差線 木古内-五稜郭間→「道南いさりび鉄道」へ。

             函館本線 函館-長万部-倶知安-小樽間


このように新幹線開業に沸き立つ世間とは裏腹に、地元の人(特に高齢者や貧困層など『社会的弱者』)にとっては「地元の足」がJRの経営から離れる ことによって、『廃止されるのではないか?』といった不安がかなりあるのが実態です。特に今まで在来線の特急は止まっていたが、新幹線のルートから外れた ところほどそういった懸念が残っているのです。


これを的確に表現しているのが「ストロー効果」といった人口逆流現象なのです。


これをもう少し簡単に解説しますと、ストローの口(この場合は大都市)によって、これまでにぎわっていたほかの地方の人・モノ・カネが大都市に吸い寄せられてしまい、それによって地域が衰退する現象のことなのです。


更に、鉄道・バスの『廃止』が簡単に出来るようになったために、地域の利用者が少なくなれば「採算の悪化」を理由に『届け出』さえすれば一定期間後に廃止、といったことが簡単に出来てしまうのです。

(世界的に見て、この制度は『異常』なのです。諸外国では、開業は『届出』、廃止は『認可』なのです。)


今回の件により、既に鉄道やバスの廃止が論議されているところが多々あります。


今回の九州新幹線の全線開業によって、確かに観光産業や大都市の商業関係者は大歓迎するでしょう。しかし、これまで『地域経済の一翼』を担ってきた地元の商業関係者や、新幹線によって素通りしてしまう町の関係者

などは、今回の開業が、かえって「『福岡』のミニ東京化」が進んでしまい兼ねない疑念を抱いています。更に只でさえ問題になっている『地位間対立』 をかえって助長し兼ねず、それによって「地域の担い手」が町を去ってしまうことが加速すれば、ますます地域は衰退し、『平成の大合併』第2弾が起こりかね ない危険性を孕んでいます。ましてや、今は『小泉竹中恐慌』の真っ只中で、未だに先の見えない世の中です。



今回の九州新幹線の全線開業、マスゴミに浮かれて手放しでは喜んではいけません。私たちはもう少し「地域の足」のことを真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか?そして、もう『新幹線』が本当に地元に必要なのかも一緒に考える必要があるのでしょうか?