歳を取ると、それだけ価値が下がると、私は考えている。

少年漫画の主人公に、40歳のおっさんはいない。

つまりはそう言う事なのだ。


感性が鋭く、感情豊かな若者が様々に思いを巡らせる様の方が、はるかにセンセーショナルというものだ。


これは価値観の問題であるから、一定数、倫理に反するとして批判を受ける部分もあるだろう。


しかし事実として、若いという事には、ただそれだけで価値がある。



歳を取ると、少しずつ自分の身の回りから人が離れて行く。


友人もいるが、やはり少しずつ、各々の人生を歩むようになっていく。



若い皆さんは、私を慕ってくれる。

声をかけてくれるし、私に笑いかけてくれるし、私の話す事に笑ってくれるのだが、しかし私はどこかで距離を置いてしまう。


例えるならば、彼らは、

『ボートの上でパーティーをしながら旅をしている。』


そして私は、

『たまたまその近くを泳いでいたから、ちょっとだけパーティーに参加させてもらった。』


少し楽しい気持ちを分けてもらったら、

『ありがとう、では、私はもう行くよ。良い旅路を。』

と言った所なのだ。


本当は、私もその船に乗って、一緒に旅を続けたいのだが、残念ながら私は、皆さんが喜んで食べている食事が舌に合わないのだ。


一人が好きで、他人に馴染めない。

若い相手なら尚更だ。

しかしどこかで、賑やかなその様を羨ましくも思う。


別に彼らは、私がボートに乗っていても、何ら邪険にする事なく、迎え入れてくれるんだろう。

きっとそういう生き方もあるんだと思う。


彼らを見ていると、輝いており、微笑ましい。

だからこそ私は、くすんだ自分がその隣にある事を躊躇う。

結局の所、私は臆病なのだ。


長く一緒にいる事で、自分という人間のつまらなさに失望される事が恐ろしい。


だから、付かず離れず、適度な距離と題して関係を保ち、心の中で拒絶して孤独を感じるのだ。