私の自宅のキッチンには、ベビーゲートが設置されている。

1歳の次女がキッチンに侵入し、戸棚を漁りたがるからだ。


戸棚には、包丁などの危険物がある。

なのでお子さんがいる家庭ならば、ベビーゲートを使用している事は少なくないだろう。


私の使用しているベビーゲートは、開閉できるタイプではなく固定式であり、大人ならばまたぐことが出来る高さに設定されている。


しかし、子供はまたげないので通過できない。

そういう仕組みだ。



キッチン間の移動は、ベビーゲートをまたがらなければならない。
そして私は、このベビーゲートをまたぐ際、4歳の長女のおもちゃキッチンに足を直撃させてしまった。


非常に痛い。
タンスの角に小指をぶつけてしまった時のような痛さだ。

私は、
『いてえぇぇぇぇ!!』
と声をあげる。


すると、長女が私の足元に駆け寄ってきた。
何かと思えば、私の足を抱きしめて、
『痛いのがいなくなるまでこうしてあげるね!』
というのだ。


君はママに何度も、キッチンに入ってこないで、と言われているよね。

それを守らず、キッチンに侵入する事を目的に、おもちゃキッチンをここに置いたのだよね。

踏み台として利用する為に。


あとね、今私はね、ベビーゲートを跨いでいる途中なんだよ。
片足を封じられたらバランスが悪いんだよ。
転ぶかもしれないんだよ。


更に言えば、すごく痛いので、痛みのある箇所を確認したい。
怪我はしていないか?
血は出ていないか?
そういう確認をしたいんだよ。


極めつけは、私は右手にお料理が盛り付けられた皿を持っている。
早く置かせてくれ。


『大丈夫だよ。〇〇ちゃんが一緒にいてあげるからね。』

お願いだからやめて下さい。


しかしね、どうして君を振り払う事ができるというのかね?

これは明らかに、純粋な愛情ゆえの足枷なのだ。


逡巡の末、私は答える。

『ありがとう。もう痛くないよ!大丈夫!』



この私に嘘をつかせるとは、全く大したものである。


そして妻はと言えば、
『何してんの、早くどいて。』

あなたはもう少し嘘をついてください。