去年のオンラインライブと今回のアリ

ーナツアーのオープニング曲である

multiple exposure。

改めて聴くと本当に沁みる曲。

いつも友達がInternet Explorerみた

いな曲名、と言っていたのでそんな

風に覚えていたけれどどういう意味

なのか調べてみると、「多重露光」

という意味だそうだ。

 

これは写真撮影における技術の一

つで、1コマの中に複数の画像を重

ね写しこむこと。

知らなかった~

 

この曲は夜の踊り子のカップリング

曲として発表されているが、この時

の初回限定版のCDジャケットが文

字を重ねているように見える。

調べてみたところ、ケースをスライド

することで何分後の今、という文字

が浮かびあがるということだ。

これはまさに多重露光♪そして遊

び心満載のサカナクションらしい。

 

美しいイントロのメロディ。

背につたう、と一郎さんの伸びやか

な歌声に聴き入ってしまう。

 

背と腕に伝う汗は襟を濡らすほど。

そして同じく背と腕に当たる風の糸。

汗は目に見えるけれど、風の糸は

目には見えない。

どこか抽象的な風景。

 

2番のせ、は瀬に見えるぶれた光、

同じ言葉でも意味の違う漢字を持っ

てくる歌詞が一郎さんらしくて好き。

 

泣いているよう、も最初聴いたときは

歌詞に鳥が出てくるので

鳴いているよう、かと思っていた。

 

そう生きづらい そう生きづらい

そう言い切れない 僕らは迷った鳥

 

というこのサビの歌詞は生きづらい

という弱音や本音を出しにくい世の

中ということを歌っているのだろうか。

だからみんな迷っている。

だから祈る、しかなかったのだろうか。

 

そう生きづらい、のサビの部分の

繰り返しは最初So it is rightと英語

で歌っているのかと思っていた。

生きづらい、の ら、をRの発音ぽく

歌っているように聴こえるのでそう

思ったのかもしれない。

一郎さんのマジックワード♪

 

そして特に心に残るのは最後の

 

鳥と凪 遠くに花火 通り過ぎない季節に

立ってたんだ

鳥と凪 遠くで花火が光った

光った

 

という美しい言葉。少し抽象的だけ

ど印象的な風景が浮かぶ。

風のない澄んだ空に鳥の姿。

見えるか見えないかくらいの遠くで

小さく花火が光るのが見える。

そしてその花火はすぐ夜空に吸い

込まれるように消えるのだ。

 

光った、と2回続けて終わらせると

ころが余韻を残すようですごく好き

なところ。

 

その花火は本当に光ったのか、

瞬きする一瞬の間の幻ではなかっ

たか、

生きづらい世の中に迷う鳥の私た

ちは暗闇でそっと目を閉じる。