アルバム sakanactionの最後を飾る「朝の歌」は夜をイメージすることの多いサカナクションの曲には珍しい「朝」を歌った曲、そしてこの春からレギュラー化した一郎さんのNIGHT FISHING RADIOのテーマソングにもなっている曲だ。
でも、この曲は朝起きて目覚めてさあこれから、という状況を歌う曲ではないと思う。
夜じゅうずっと起きていて、何気なく見た窓の外はまだ夜、
だったのが、気がつくと朝が月や星を食べていく、と歌う。
この朝が月や星を食べてく、という表現がとても好き。
食べられて初めて夜がそれに気がつく。もう、夜はおしまいなのだと。
朝の光が月や星をかき消してしまうことを、一郎さんの独特の言い回しで表現している。
そして朝に船を浮かべ、いつか旅をすると歌う。
非現実的というか抽象的な言葉なのに、なぜかどこか情景が目に浮かぶような歌詞だ。
そして幾度となる歌われる表と裏、というワード。
それは、夜と朝のことか。
表と裏。
表と裏。
隣り合ってた表と裏。
朝と夜の間を船で行き来しているような
そんな光景を私は思い浮かべる。
朝は夜、
夜は朝。
ふたつの境目が交じり合うところ。
隣り合ってる空と水面を思いながら
いつか、朝に浮かんだ船に乗って旅をすることを夢見る。