いざ、出発を決意したけれども、その準備がまた、地獄の苦しみでした。
パスポートはあったのでその手続きは必要なかったのですが、航空券を旅行代理店に依頼する、このこと自体が本当に辛いことだったのです。書類をまともに書けない、面と向かって話すことも辛い、じっと座っていることすら辛い、本当にできないことが次々と頭の中に湧き上がってきて、どんどんハードルが高く感じられてくる、それ以前に旅行代理店まで足を運ぶということができないのです。おかしい人間じゃないかと思われるんじゃないかとか、こんな時期に海外へ行くなんて仕事していないのかなどどうしようもない考えが次々と浮かんでくる、そしてその間にも死にたいという感情と戦い、生きていくことをどうにか紡いでいく、動かない体を無理やりに動かさなければならならない。ただ、それだけのことが本当に苦しいのです。
本当はこの時点で、医者にかかり、休むべきだったのでしょう。でも、究極の二択を突き付けられている状況ではその考えすら浮かんでこなかった。そして、この状況をどんな説明しても、妻には私は知りませんの一言で片づけられる状況でした。でも、この状況を見てもらもらえば分ってもらえるじゃないかという考えも少しはあったのです。
チケットを買いに行くことを実行するまでも数日かかりました。
最終的には、親に頼りました。親も薄々、おかしいということは感じておりましたが、うつ病という言葉を知っていても、実際に関わることは無かったので病気だということは分らなかったのでしょう。仕事の問題、離婚の問題により精神的な重圧を受けて一過性におかしくなっていると感じたようです。
旅行代理店に行き、チケットを仕入れ、ふらつく字で申込用紙を書きその日はそれだけでエネルギーを使い果たしました。もう、チケットとパスポート、それ以上の準備は全く自分ではできない。
でも、出発への準備は整いました。