【継続学習はガードレール】
一般財団法人日本プロスピーカー協会(JPSA)の研究会にて30分の報告。
「継続学習はガードレール」という題で、400人以上の会員にお聴きいただきました。
2010年から14年間学び続けているアチーブメント
(目標達成の技術・人間関係構築の技術)を現場にどう生かしたか。
■ 学んでも出来なかったこと
リーマンショックによる大赤字を出したのが2009年、
その翌年に青木仁志先生に出会ったことが人生の大きな転機でした。
最初に成果が出たのは売り上げ・利益でした。
自社に対する肯定的な解釈を身に着けて営業が本当に楽になりました。
しかし学んでもなかなか身に着かなかったこと、それが選択理論です。
「外側からの刺激によって他人を変えることは出来ない」――。
その選択理論の教えを学んでいても、理解した「つもり」でしかなかった。
学んで3年がたった時のこと。
私の考えを受け入れない社員を批判し・文句を言い・責めてしまったことがありました。
そのような「外的コントロール」で人を変えることはできない。
それを理論ではわかっていても、
それまでの半生で身に着いた悪しき習慣は変わっていなかったのです。
退職したその社員から届いたのは慰謝料の請求でした。
「不当労働行為・不当解雇」との訴え、まさに立派なパワハラでした。
「批判する・責める・文句を言う・ガミガミ言う・脅す・罰する・目先の褒美で釣る」
という外的コントロールがいかに非効果的であるかということ、
たんに人間関係を破壊する結果だけに終わるということ。
このような経験があって初めて、骨身に沁みて理解しました。
苦く痛い経験でしたが、このお陰で選択理論の教えが身に着き始めました。
■ 継続学習に守られる
私が慰謝料を請求されたのはアチーブメントを学んで3年目のことでした。
私にも「愛・感謝・誠実・貢献」という人生理念がありました。
「縁ある人を物心両面の豊かな人生に導く」という立派なビジョンもありました。
しかし、社員を外的コントロールで辞めさせるという行為のどこが目的からの一貫性か。
自己評価にさいなまれました。
しかし、そんな私をさらなる転落から守ったのが継続学習のシステムでした。
学び続けたおかげで自らの過ちに気づき、謝罪し、軌道修正する機会を得た。
もし学ぶことを途中で止めていれば、どうなっていたことでしょうか。
自己正当化したり、居直ったりして事態をさらに悪化させていたかもしれません。
継続学習というガードレールに守られた。そう実感しています。
■ 避けていたプロスピーカーチャレンジ
「プロスピーカー」とはアチーブメントでの学びを体得し、
生き方を通じて普及する存在です。
あこがれていました。
しかし自分は全くそうではない、
学んでいても身に着かない、出来ない。
あの慰謝料事件は、学んで3年目でした。
ふつう3年目ならマスターです。
ところが私は慰謝料の請求書。
その過去が私のチャレンジを止めていました。
私のような人間がプロスピーカーになれるわけがない、
いや、なってはいけない。
自分自身に大きな否定的解釈をつけていました。
しかし7年目のこと、重い腰を上げてチャレンジ。
形だけはプロスピーカー2次試験に進みました。
しかし慰謝料請求事件のことは誰にも告げていません、
告げれるわけがない。
試験の直前1週間ほどのこと。
私の練習プレゼンを聴いた先輩プロスピーカーが私の心の闇を見抜きました。
「坂元さんのプレゼンからは共鳴共感がおきない。何故だかわかりますか」
「それは自己開示がないからです」
「赤字なんて大した自己開示ではありません。本当に言うべきことがある。そんな気がする」
そのようなフィードバックを受け続け、彼に事件のことを白状しました。
■ 能力開発の5段階
「坂元さん、それです。それが必要です。プレゼンに入れましょう」――。
私にとっては驚天動地の発言でした。
彼が続けて説明したのが「能力開発の5段階」です。
① 知る
② 分かる
③ 行う
④ 出来る
⑤ 分かち合う
「知る・分かる」と「行う・出来る」の間にあるのが「習慣の壁」
「外的コントロールの害を知って頭で分かっても、出来なかった。
これを坂元さんは7年掛かって乗り越えた、
離職のない立派な職場を作ったじゃないですか」
そして「行う・出来る」と「分かち合う」の間にあるのが「自我の壁」
「自分さえ良くなったらそれでいい。
そんな考えなら『自我の壁』は越せない。
あれがあったから、いまがある。
継続学習によって乗り越えた、良くなれた。
いまが一番良いと言える人生を送り続けること」
「出来るようになったアフターだけではない、
出来なかったビフォーを等身大で語ること、それをシェアできる存在がプロスピーカーです」
そんな徹底的なフィードバックをいただき、私は自己開示の意味がようやく腑に落ちました。
悩みました、恥ずかしかった、苦しかった。
でも乗り越えよう。
そしてプレゼンに慰謝料事件のことを入れました。
一週間後の2次試験、無事に合格をいただきました。
その日の夜のJPSA研究会で、合格者の代表プレゼンにも選ばれました。
東京・五反田のアチーブメント5階の会場に集う200名ほどの受講生、
そして仙台・名古屋・富山・地元の大阪・九州にも中継されていました。
「墓場まで持って行くつもり」だったものを、全国にさらしたのです。
もう何も怖いものはありません (😊)v
■ 自己開示の持つパワー
お世話になった青木先生・佐藤先生が聴いてくださっている目の前でのプレゼン。
「今までの人生のすべてのことに感謝しています」
この言葉の意味が、完全に理解できた瞬間でした。
いまが一番いいといえる人生、だから等身大で失敗も開示できるし、過去を完了できる。
そして得たのは心の平安でした。
その人の人生の夜明け前の漆黒の闇、そこに成長の種・感動の源が隠されている。
大高先生のこの言葉も沁みました。
■ 人生とは巨大な「遅れの法則」
プロスピーカーとは「学びを完璧に出来ている人」では必ずしもなく、
ましてや聖人君子でもなんでもない。
「成長と貢献にチャレンジし続ける人」――。
そう私は理解しています。
高い目標を設定し、壁に挑み続けるからこそ失敗もある。
逆に何もしなければ失敗もない。
失敗から学び続けること、失敗のプロセスに成長があり、その先に成果がある。
学び続けて14年間、必ず「遅れの法則」が働くということを実感しています。
自己変革の努力を続けても、すぐに成果は出ない。
ビジネスや学習だけでなくスポーツや楽器の練習、ダイエットなどどんな分野もそうです。
努力量と発達量のギャップの一番深いところで「あきらめ」が生じる。
ここで人は離脱しやすい。
私の遅れの法則は3年目の事件です。
良好な人間関係を築く技術を知って・分かっても出来なかった。
しかし継続学習によって乗り越えることができた。
いや、いまも日々乗り越えるための修行のただなかです。
人生とは巨大な遅れの法則の中にある。
これから人生の後半戦、もっともっと大きな成果が待っている。
それを期待してこれからも挑戦と成長の人生を選択します。
14年前、大赤字という逆境のさなかに「会社を良くしたい」という思いで出会ったこの技術。
継続学習というガードレールに守られる人生に感謝し、これからも学びを実践し続けます。