福岡少年院での講演の話。 | 坂本博之 「不動心」

福岡少年院での講演の話。

11月後半。


僕は福岡少年院を訪れました。


たまたま僕のファンだった少年院の法務教官の方が、僕に連絡をくれたのです。


以前僕は、ボクシングコミッショナーからの紹介で「人」・「わこうど」という、財団法人矯正協会が出版している少年院の院生の為の小冊子の取材を受けました。


これは全国の少年院へ配られているものだそうですが、「そのうち少年院への関わりも持てたら」と考えていた矢先のことでしたので、喜んで引き受けました。


少年院。


広辞苑では「家庭裁判所から保護処分として送致された少年を収容して矯正教育を行う国の施設」とある。


そこで生活している少年達は、どんな思いでいるのか?


自分が置かれている状況と、自分が犯した過ちについて、どう向き合えているだろうか……。


それが一番の気がかりであった。


あれこれ思いを巡らせながらも、まずは子ども達の顔を見て、講話の筋を決めようと思った。


寒さが強まってきたその日、体育館に集まった少年達は、床に座布団を持って座った。


僕も壇上ではなく、同じ高さに立ちます。


僕が一番伝えたかったこと。

それは「人は、変われるんだ」ということです。


「自分を見捨てるな、諦めるな。」と。


僕なりに熱を持って話しました。


少年達からも、熱を感じました。食い入るように、こちらを見つめて聞いてくれている様子が伝わりました。


講演後のミット打ちでは、タイムリミットが近づき1人しか出来なかったのですが、自ら手を挙げた少年は印象深く残っています。


彼は初め、照れもあり軽く当てる程度だった。


だから俺が「おまえの思いはそんなものか?嬉しかったこと・悲しかったこと・悔しかったこと、全ての思いを拳に込めて打ってこい!!」と声を掛けます。


すると凄い形相で打ってきたんです。


それは皆が驚くほどに。


帰り際、教官の方からふと聞かされました。


「今あの子は壁にぶつかっていて、冷めてしまっていたんです。だから、自分から手を挙げたことにも驚いたし、あんな表情するんだと、僕も驚きました。坂本さんに引き出してもらったんでしょう」と。


それを聞いて、僕はもっともっとたくさんの少年達のミットを持ってやりたかったと、感じました。


そんな日が、また来ることを願っています。


後日頂いた感想文を読むと、その子それぞれの背景が垣間見られた。


「でも、諦めない」


どの感想文の中にも、その気持ちが現れていました。


再犯も多いと言われる少年犯罪ですが、これから先を希望ある未来に向かって歩んでいってほしいと強く願っています。


福岡少年院の教官の皆さん。

真ん中が「福岡少年院長森田哲志院長」です。


大変貴重な経験をさせていただきました。誠にありがとうございました。


これからも少年達の未来の為、頑張ってください。