目黒区美術館へ。 | 日本画家 榊山敬代 オフィシャルブログ 人生こんなもん。Powered by Ameba

目黒区美術館へ。


先日…日曜日の東京は

少し暖かく過ごしやすかったでしょうか…

大掃除とまでもいきませんが
アトリエから全ての窓ガラスを
ピカピカに清めていた午前です。。

そして午後は

はじめて足を運びました
目黒区美術館へ。。

{97AC02C4-9CA1-4A46-92B8-47B21501FCD5}

色の博物誌 展

ー江戸の色材を視る・読むー

鑑賞してまいりました…

先週に行きたかったのですが

年賀状へ気をとられておりまして
うっかりと行きそびれそうでしたところ
最終日となってしまいましたが
閉館時間までじっくりと
鑑賞することができたのでした。。

この度の展示は
日本画の素材をこよなく愛する
榊山さんにとりましては
ささやかにしあわせな展示となっておりました

…と いいますのは

色の博物誌というテーマのとおりに
会場では主に古来からの色の画材たちをはじめ
素材となる原料たちまでが
映像なども通してわかりやすく
紹介されていたからなのでした

榊山敬代日本画展でも
毎度使用した画材さんたちを
会場へ連れてゆきお披露目しているのは
2009年の初個展から変わらない展示スタイルですが

作品へと象られる前の
色の素材や原料を知ることは
古来からの色の名残りを知る眼差しとして
〈日本の色〉の魅力なるひとコマかもしれません

展示構成では

{FEDE1DA0-5E72-43B8-8D68-5577213DA1BB}


作品では〈国絵図〉・〈浮世絵〉

にて構成され
作品に用いられている素材や
どの素材を混ぜてこの色を発色されているのかという丁寧な解説も添えられていました

今日の色の世界では

無い色は無い程
色彩のゆたかな時代のなかで

本展の舞台であります
江戸時代へとさかのぼりますと

色や素材に限られた時代にて
いかに新しい色を生み出して

色が生まれるまでの行程を工夫されて
研究されてきた背景が伺えるのでした

赤…黄…青…白…と

色のイロイロはあざやかにも深くて
ココでつづるのは長くなりますので
ひとつの気になった色へ絞りまして
簡単にご紹介したいとおもいます…

今回の色材では

主に浮世絵に用いられていた素材を
紹介されているなかで
今の日本画では触れたことのない素材が
気になるのでした

その色とは
青色の色材〈青花〉です

この青花は浮世絵のなかでは重要な色とされ
発色は淡く藍色のような
清楚な青色が特徴なのですが
その原料となるものが

青色の花びらの絞り汁から
つくられるとのこと

この青色は 
友禅染めの下絵を描くのに使われており
なんとなく存在を知ってはいたのですが
どのように顔料として象られてゆくのか
興味深いのでした

歴史に残されている文献では
この青色の原料を
露草の花びらを大きく改良した
〈大露草〉という名称で
記されていることにはじまるのですが

近年 版画家の立原位貫さんによる 
浮世絵の研究によって
青花を製造する滋賀県草津の農家を訪ね
今まで浮世絵研究にて〈露草〉といわれてきた青色の原料は
〈青花〉という植物であることが明らかになったとのことです

さて この青花からつくられる行程とは

まず 青花の花びらだけを摘み取り
たくさんの花びらたちを桶のなかで
手で押しもみながら出来上がる絞り汁を
薄い和紙に何層も塗り重ねては乾かしを
繰り返してできた和紙が
〈青花紙〉〈藍紙〉と呼ばれる色材が誕生します

この青色の紙は
使用したい分だけ紙をちぎり
絵皿の中で水に浸すとしずかな青色が滲み出でて
それを色として用いるとのことです

日本画の青といえば
アズライトの鉱石を原料とした
キラキラサラサラとしたイメージが定着していますが

花びらそのままの色素が
しずかに作品として発色されているひとコマも
みずみずしくまぶしき色の世界でした


…ところで

今回は展示のタイトルにつられて
目黒区美術館へ初めてうかがうことができましたが

最終日ということもありましてか
大変混雑しており 色の世界を熱心に
たのしまれている風景からは
ふと幸せをいただくのでした

へー…そうなんだね~しらなかったね~
と 親子で語りあう背中に出会うとき

知らないことを知る輝きとは
その人の眼差しを豊かにしてくれるような気がします

さて

今回の展示は
終了してしまいましたが、、

館内の方にたずねてみましたところ

ときどき 展示に合わせて
画材や素材の展示をされることもありますとのことでした

今後ときどき 展示など
気にしてゆきたい美術館となりそうです


…それにしましても

きょうは20日となりました

昨日ではようやく描き終えた
2017年の年賀状たちと渋谷へゆき
渋谷郵便局へどっさりと投函してきたのですが

なんと 窓口が30分待ち…と
師走の雰囲気でにぎわっておりました

そしてウエマツ画材店にも
注文していた画材を受け取りに行きまして
冬休みの時期だからでしょうか…
学生さんたちでにぎわっておりました

今年もウエマツさんには
個展の作品にまつわる色々にて
本当に大変お世話になったなぁ…

色々な思い出もあざやかに浮かべながら
お店へ感謝の気持ちを置いてくるように

ウエマツさんを後にするのでした。。

2016年のブログも
あと何回更新できるでしょうか…

今年のまとめや反省
来年への夢なども

見つめてゆけたらとおもいます。。