速水御舟の全貌のとき。 | 日本画家 榊山敬代 オフィシャルブログ 人生こんなもん。Powered by Ameba

速水御舟の全貌のとき。


昨日の夕方は

ふと おもいたちまして
山種美術館へ。。

閉館一時間前に入場したのですが
お客様のにぎわいも落ち着いた気配の中

最初はじっくりと

最後は時間が足りなくて
少々早歩きとなりましたが

速水御舟の世界に
浸ってまいりました


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速水御舟とは…

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Wikipediaより


40歳という

短い人生のなか
これからが人生

という時に
画家人生に幕をとじられたのでした

今回の展示では

速水御舟の全貌
というテーマのもと

速水御舟の作品と
解説と残された御舟さんの言葉と共に

速水御舟という人生をわかりやすく
堪能できる展示となっておりました

展示構成では

第1章…画塾からの出発
第2章…質感描写を極める
第3章…古典を昇華する
第4章…渡欧から帰国後の挑戦へ

ひとつの作風にこだわらず
年代ごとに異なる作風へと
挑戦されてゆく息づかいは

今も作品に生々しく灯っているようで

その追求する眼差しは
心地よい温度へ誘われてゆくようでした

そして

ふと 会場でひときわ足をとめて
じっくりと見つめていたのは

御舟さんが残された
言葉たちでした

それは
日本画に対するおもいや
新しい作風へ挑戦する葛藤が
垣間見れるのでした

わたしは この御舟さんの言葉の節々に
おもわずうなずいてしまうように

自問自答のように
言葉の真の部分を
読んでみるのでした

たとえば

伝統を継承することは単なる技法や
表面的な型や雰囲気を写すことはさておき

精神性であること。。

このニュアンスとは…現代の美術に
足りないエッセンスかもしれませんが

その古来からの精神性を思い出したとき
未来の美術は本来の美術へ再生されるようにかんじるのでした

また 

作品のタイトルや制作年が記された
キャプションでは
制作された年齢が記されているところも
御舟さんの人生がわかりやすいひとコマです

早くは17歳からの作品もありまして
同じ年齢の方が観たなら親近感が湧いてくるかもしれません

23歳…31歳…37歳…

はじめはなんとなく
年齢を追いながら眺めていたのですが

御舟さんの結末を知っている者から
この展示を見つめたとき

途中から映画をみているかのように
胸の奥がじわじわしてくるのでした

35歳…わたしの今と同じ歳だなぁ…
37歳…御舟さん…あと三年だなんて…
40歳…御舟さん…

もちろんのこと
御舟さんご本人は命の終わりも知らずに
歳を重ねながら作品を産みだしてゆくなかで

最後まで制作に燃える心はとても美しく
作品から放たれる香りに心がつかまれるのでした

…物を見ないと描けなかった時代から
観てきた物を見ないで描けることの喜びへあらためて燃えはじめた頃
画家人生に幕をとじることとなるのですが…

その作品から漂う喜びを
胸にいっぱい吸い寄せて
美術館を後にするのでした

帰り道。。

なんだか泣きたくなってくるのでした

そんな自分に
どうしたのよと
 
その泣きそうな心へ
耳を当ててみたとき

心はぷるぷる言うのでした

絵を描きたい
もっともっと
表現極めたい

絵を描いてきたつもりでも
本当の自分はまだまだ足りなくて
長生きできる予定でいても
本当の寿命はわからないとしたら

表現を極める人生
悔いのないように

素朴なキモチではありますが
きっとこのキモチのおかげで

これまでのわたしが生かされてきて
これからのわたしも生きていけるように

昨日は久しぶりに 

わたしのなかのわたしが
ゴーッとつぶやいていたのでした。。

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ところで 最後の方に…ぁ。と
親近感をおぼえた作品もございました

それは  御舟さんが40歳の時に
制作された日蓮上人像の模写の作品でした

その原本となる作品は
池上大坊所蔵の作品から模写をされたとのことでした

つい先月
池上大坊にて個展を開催させていただき
日蓮さんの作品を描かせていただき
作品をご奉納させていただいたところでしたので 
まだ1ヶ月程しか経っていませんが
なんだかなつかしくおもうひとコマなのでした。。

この展示では前期と後期に分かれていまして
作品の入れ替えがあるとのこと…
後期は11月8日からです

また 足を運んでみたいとおもいます


▲山種美術館



SAKAKiYAMATAKYO