ささやかな夢をおもいだす時。 | 日本画家 榊山敬代 オフィシャルブログ 人生こんなもん。Powered by Ameba

ささやかな夢をおもいだす時。


ミーンミン…と
こだまする夏の空から

そよそよとヒンヤリとした肌寒い風が 
ふと夏のおわりの気配を感じさせてくれるこの頃です。

今年の夏も ァ…と言う間だったなぁ…
そんな 夏のうしろ姿を眺めていましたら
夏のうしろ姿には毎年毎年と
あらゆる物語が刻まれていることに
ふと 目をとめてみるのでした。。

八月は先日の お盆をむかえるころ…
Facebookページでは
かれこれ11年前の作品を更新していただきました。

こちらの作品は
ちょうど 今頃の季節に制作していた  
夏のうしろ姿のひとコマです。

そして 人生のなかでも忘れられない作品のひとつであることをおもいだしていたのでした。

この作品の真ん中にあたる正面は 
このブログの顔馴染みとして
人生こんなもん。のバナーとして
開設当初から使われているわけですが

そのような想い入れのある作品を  
制作することになったきっかけは
さかのぼりまして22歳の梅雨の季節に
介護老人保健施設 浴室壁画制作にあたり
多摩美内のコンペから選抜いただきまして
壁画として制作する機会をいただいた作品なのでした。

わたしはこの応募を見つけたとき。
まよわず張り紙に飛びついたものの
応募締め切り日は
なんと。見付けた日の夜21時でした。
…ェ。あと五時間しかない…
けれども見つけてしまったからには
挑戦しなければ後悔する…と
とりあえずその日は学校から
一度家に引き返して 急いでアイデアを考えたのでした。

カミサマはなんという
ギリギリを試してくるのでしょうか…

…やがて ギリギリに提出したイメージが採用されることとなるのでした。

そのようなわけで
この機会を諦めきれなかったこと
このコンペへ飛びついたことには

ささやかな理由があったわけなのですが
それは高校生の頃におもい描いていた
ささやかな夢のはじまりへ
この壁画を挑戦することによって もしかしたら小さな一歩として踏み出せるかもしれない…とよぎった瞬間だったからです。。
そのささやかな夢とは
美術科の高校の卒業とともに 大学への進学を考えはじめなければならなかった頃
わたしは美術の大学へ行くよりも
絵を誰かの為に描きたい
空間の為に絵を描きたい
…と どうしたらこのような活動ができるのか 夢をふくらませていたのでした。

今おもえば 
ただ子供な考えで恥ずかしいのですが
もしかしたら オーダー制作のはじまりと
いつかパブリックアートのような制作をしてみたいというイメージだったのかもしれません。。

…そのように
ささやかな夢を秘めていたこともあり

いざ。制作へ取り掛かることになるのでした。。

この壁画の制作に関しては
介護老人施設という場所柄

個人制作というよりも
自己表現というよりも

観てくれる心のために

そして 
もしかしたらこの作品の映像が
その方にとって最後の景色になるかもしれない…

そのような心もちで
謙虚に作品と向き合い

22歳の頃に描いていた時の心境は
今のわたしを育ててくれています。。

…ところでこちらの作品は

寄贈した場所が浴室ということもありまして 当初から もしかしたら絵が劣化してしまう可能性が高いことを あらかじめ告げられての制作でしたが

案の定… 7年程で 劣化が進み
今は飾られていないとのことです。。

この作品の結末とは 
まるで花火のように

今となっては
観ることのできない作品となりましたが
きっと おじいちゃん おばあちゃん の
心のどこかのおもいでとなってくれたなら
心をこめて描いて 本当によかったです…


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またこんなふうに
たとえ作品がこの世に残らないとしても
だれかの心へと 絵が描けますように…


…さて。

はなしは変わりまして
夏休みという季節も
のこり数日となりました。。

みなさま いかがお過ごしでしたでしょうか…

気がつけば  人生こんなもん。…と
ブログもすっかりと夏休みモードのように
一ヶ月以上も更新していなかったようですが 
わたくし自身は お休みへ知らないふりをして夏休みを過ごしておりました。

特に今年の夏休みは 作品がなかなか完成しないこともありまして アトリエにこもっておりました。。

そのようななかで
榊山敬代Facebookページでは

夏のラクガキを更新していただきましたが

また 夏のおわりに。。
ラクガキを更新できればとおもいます…

。。さぁ

夏休みに取り組んでいた作品ですが 今週のはじまりにようやく完成いたしました。。

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この度は15号にて。
(今は後ろ姿にて失礼いたします…)

右下に 小さく写っているパネルが
手のひらサイズの作品なのですが
今回はそれの倍の倍の倍…と
普段小作品が多いので どうしても時間がかかってしまいました。

後半の制作もまだまだつづきますので
もう少し計画的に。できればスピーディーに進めるようになりたいです…

それにしましても。
今年は花火を見逃したことが
すこしのこころのこりですが…

夏のひとコマとして。
アトリエにはセミさんがたずねにきてくださいました。

カメラを向けてみましたら
片手をピーんとあげて
…ごきげんよぅ…と ごあいさつしているようでしたので

おもわず パチり。。

きょうは夏の終わりにふさわしき
こちらの画像にて失礼いたします…

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