縦書きと横書き | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

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けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

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以下、思いっきり、短縮バージョンですが……

日本語は縦書きに向いているということを、ときどきお話することがあります。
書く場合や読む場合に応じて、いくつかの観点を話すのですが、その中の一つで、「人間の視野は横長であるので、横書きにした方が、速く読めるようにも思うが、表意文字中心の日本語は、縦書きで充分に情報が示されている。横書きにすると情報過多となる」ということを説明します。ただ、この観点、いつも感覚的には説明できても、具体的にぴたっと説明しきれていないような気がしていました。

26文字のレパートリーで、物事を表記する英語に比べて、漢字も含めれば無数の文字レパートリーを持つ日本語は、当然、平均的に少ない文字数で物事を表現できるはずです。そのことを、一つ、二つの例ではなく、恣意的選択に陥らずに、うまく平均的に見渡せるような例がないかなあと思っていたのですが……

つい最近、勤務校の運動会の組み分けで使われている「八つの色」というのに思い至りました。(いったい何年かかるんだ! 当然、日本語と英語の色が同じかどうかは疑問ですが、そのあたりは深入りせず、ひとまず、一対一対応ということにします。)

紫:purple 6文字
白:white 5文字
青:blue 4文字
緑:green 5文字
橙:orange 6文字
黄:yellow 6文字
赤:red 3文字
黒:black 5文字

ということで、上記を平均すると、日本語平均1文字に対して、英語平均5文字となります。
半角英数ということを考えあわせれば、日本語と英語とでは、同じことを表現するのに必要な横幅は、1対2.5となるわけです。つまり日本語を、英語同様に横書きにすると、英語の2.5倍の情報量が、視野の中に入るということになります。

また、日本語の文字は、縦横1対1ですから、例えば、日本語の「緑」を縦書きにした場合と、英語の「green」を横書きにした場合との、縦幅:横幅の比は、「縦1対横2.5」となるわけですね。実は、これ、ほぼ人間の視野の縦横比かと思われます。
(縦横比については、一説には、「水平約200度、垂直約125度」という報告もあるようですが、個人的には、映画のスクリーンが、需要と供給と経験から出来上がったいい比率なのではないかと思います。20世紀FOX開発の縦横比は、1対2.35です!)

ということで、こんな感じになるでしょうか?

他の観点は、またいずれ。