最近、3D映画が増えている。
映画は好きで、3D映画も「ジョーズ3」(1983)あたりから、たくさん見てきたが、あまり好きにはなれなかった。
確かに「おおっ」というびっくり感はあるけれど、目は疲れるし、何よりも、「びっくり箱」的な仕掛けは、映画本来の「作品的感動」を阻害してしまうと思っていた。
ところが、この間、観た「ALWAYS 三丁目の夕日 '64」で、その考えはぶっとんでしまった。
確かに、最初は「目が疲れるなあ、うっとうしいなあ」と思って観ていた。「三丁目の夕日」シリーズは、大好きで、劇場ではもちろん、そのあとも、何度もテレビやDVDで観てきた作品だ。「せっかくの新作なのに、失敗した。2D版のほうで観ればよかった」などと、後悔さえしていた。
ところが、10分も経つうちに、そんな違和感もなくなり、そのあとは、作品世界にどっぷりとつかりきった。
違和感がなくなったどころか、涙腺ゆるみっぱなし。
今まで観た映画の中で、「おくりびと」に並んで、一番、泣いた映画かもしれない。
ラスト近くとはいわず、映画後半になれば、もういたるところに、「泣かせる場面」がちりばめられている。
ここまでよくできていれば、「びっくり箱」も邪魔にならない。むしろ、涙の合間に、「おおっ」というサービスがある感じで、人情型娯楽大作としての完成度が非常に高かった。
涙と笑いと驚きという、なんとも贅沢な映画体験で、今までの「3D」に対する感覚を見事に裏切ってくれた作品だった。
(一つだけ、やはり難を言えば、3Dメガネが、涙で曇る……)