ショーン・ホワイトの極限の精神力 | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

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けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

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バンクーバー五輪。
男子ハーフパイプの決勝で、前評判に違わず、ショーン・ホワイトが圧勝した。

ハーフパイプでは、選手は二回の試技を行って、高い点数のものが、その選手の得点になる。
一回目を終えてショーン・ホワイトがトップ。50点満点中、46.4の高得点。
二回目の試技でも、誰もショーン・ホワイトの点を超えられない。

ショーン・ホワイトは、二回目をすべることなく、優勝を決めた。

優勝を決めた後の、ショーン・ホワイトの最終滑走が圧巻だった。

両手を天に突き上げた後、滑走し始める。
多くの選手が失敗した「ダブルコーク」という大技も、ショーン・ホワイトは二本決める。安定感抜群の着地。
それだけでも、完全に別次元の滑りだったが、最後のジャンプでは、「ダブルマックツイスト1260」という、彼しか出来ない究極の大技を披露して、エンドラインを超えた。

得点は、50点満点の48.4。
優勝を決めた一本目の得点を、さらに超える高得点で、優勝に華を添えた。

ショーン・ホワイトの演技を見終わった瞬間、不意に涙腺が熱くなってしまった。

圧倒的な勝負強さ。
人間離れした集中力。

肝の据わった人間が、集中力を最大限まで高めたとき、これほどの勝負強さを発揮するのかと、打ちのめされるような思いだった。

「最後は記憶に残る滑りで決めたかった」というショーン・ホワイト。

まさに魂を鷲掴みされる滑走だった。