大きな物語の終焉 | 榊邦彦 OFFICIAL BLOG new

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けれど一方で、言葉や愛がまったく立ち向かうことのできない不安や困難も、
また、存在しないのではないか……僕は、今そう思っている。
『100万分の1の恋人』榊邦彦(新潮社)

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「文学界」の同人雑誌評が、今年一杯で、打ち切りになるという。

かつては、同人雑誌の批評欄を持つものは、「文学界」のほかにも、「毎日新聞」「海燕」など、いくつもあったが、「海燕」は廃刊、「毎日新聞」の同人誌欄も、もはやない。

「同人雑誌批評欄」がいくつかあった頃でも、「文学界」が同人雑誌評に割くページ数は、他とは比べ物にならないくらいずば抜けて多く、長い間、同人作家の勇気と希望だったと思う。

確かに、「同人雑誌」から新人が発掘されることは、もはやほとんどなくなったのかもしれない。

それでも、確実に文芸創作の裾野の大きな部分を「文学界」の「同人雑誌評」は支えていたと思う。

あと半年、どのような「同人雑誌批評欄」になるのか。
半世紀以上も続いた大きな物語の終焉を読む思いで、七月以降の連載を読もうと思う。